マグリット『秘密の競技者』は、マグリットの秘密の思い(願望)である。
亀のような黒い大きな生物(?)が泳いでいる、あるいは浮いているのか、・・・泳いでいるとすればここは水中、水の底ということになるが、男たちの動きがそぐわない。浮いていると結論付ければ、ここは重力とは無縁の世界である。
幻想・空想・夢幻の世界に他ならない。男二人の身体の大きさに比して足(靴)はいかにも過小であるし、どこか存在感が希薄な感じは拭えない。
競技者、バットとミットを持った各二人。当然、第三者が画面の外にいるはずで、そのボールを待ち受けているポーズだと思われる。ただ奇妙なのは、二人が同じ方向を見ていない。(野球)競技であればピッチャー(同一方向)に向くのではないか。微妙にズレのある眼差しは何を意味しているのだろう。しかも背後にはケース(箱)に収納されているかの女性が口をふさがれ(言葉の禁止)、固く締められたベルト(貞操)、目は瞑っている(開かない/永遠の眠り)という状態で扉に手をかけている。
異世界へ逝った母だと思われる。
この異世界(冥府)に秘密裏に忍び入ったのである。林立するポールの形態には微妙に差異がある、個性かもしれない。とすれば、これらは霊魂とも思える。再生への期待をこめて霊魂(ポール)から枝を伸ばし花を咲かせているのだろうか。そして母は未だ霊魂としての成就を果たせず生身のまま、息子たちを想っているのだろうか(思っていて欲しいという願望か)。
亡母に対する誹謗(飛礫)を、息子であるマグリットが防御している図ではないか、と思われる。
「お母さん、ぼくはあなたを、世間の誹謗中傷(飛礫)からお守りいたしますよ。秘密の競技者となって・・・」と吐露している。(二人の男はマグリットの分身にほかならず、どこから飛んでくるのか不明の飛礫を待ち受けているため、視点に違いがある)
右端にカーテンが見えるのは、「閉じれば消える夢の世界です」という暗示かもしれない。(『マグリット』西村書店刊より)
亀のような黒い大きな生物(?)が泳いでいる、あるいは浮いているのか、・・・泳いでいるとすればここは水中、水の底ということになるが、男たちの動きがそぐわない。浮いていると結論付ければ、ここは重力とは無縁の世界である。
幻想・空想・夢幻の世界に他ならない。男二人の身体の大きさに比して足(靴)はいかにも過小であるし、どこか存在感が希薄な感じは拭えない。
競技者、バットとミットを持った各二人。当然、第三者が画面の外にいるはずで、そのボールを待ち受けているポーズだと思われる。ただ奇妙なのは、二人が同じ方向を見ていない。(野球)競技であればピッチャー(同一方向)に向くのではないか。微妙にズレのある眼差しは何を意味しているのだろう。しかも背後にはケース(箱)に収納されているかの女性が口をふさがれ(言葉の禁止)、固く締められたベルト(貞操)、目は瞑っている(開かない/永遠の眠り)という状態で扉に手をかけている。
異世界へ逝った母だと思われる。
この異世界(冥府)に秘密裏に忍び入ったのである。林立するポールの形態には微妙に差異がある、個性かもしれない。とすれば、これらは霊魂とも思える。再生への期待をこめて霊魂(ポール)から枝を伸ばし花を咲かせているのだろうか。そして母は未だ霊魂としての成就を果たせず生身のまま、息子たちを想っているのだろうか(思っていて欲しいという願望か)。
亡母に対する誹謗(飛礫)を、息子であるマグリットが防御している図ではないか、と思われる。
「お母さん、ぼくはあなたを、世間の誹謗中傷(飛礫)からお守りいたしますよ。秘密の競技者となって・・・」と吐露している。(二人の男はマグリットの分身にほかならず、どこから飛んでくるのか不明の飛礫を待ち受けているため、視点に違いがある)
右端にカーテンが見えるのは、「閉じれば消える夢の世界です」という暗示かもしれない。(『マグリット』西村書店刊より)