続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『秘密の競技者』

2015-03-23 06:52:27 | 美術ノート
マグリット『秘密の競技者』は、マグリットの秘密の思い(願望)である。

 亀のような黒い大きな生物(?)が泳いでいる、あるいは浮いているのか、・・・泳いでいるとすればここは水中、水の底ということになるが、男たちの動きがそぐわない。浮いていると結論付ければ、ここは重力とは無縁の世界である。
 幻想・空想・夢幻の世界に他ならない。男二人の身体の大きさに比して足(靴)はいかにも過小であるし、どこか存在感が希薄な感じは拭えない。

 競技者、バットとミットを持った各二人。当然、第三者が画面の外にいるはずで、そのボールを待ち受けているポーズだと思われる。ただ奇妙なのは、二人が同じ方向を見ていない。(野球)競技であればピッチャー(同一方向)に向くのではないか。微妙にズレのある眼差しは何を意味しているのだろう。しかも背後にはケース(箱)に収納されているかの女性が口をふさがれ(言葉の禁止)、固く締められたベルト(貞操)、目は瞑っている(開かない/永遠の眠り)という状態で扉に手をかけている。
 異世界へ逝った母だと思われる。

 この異世界(冥府)に秘密裏に忍び入ったのである。林立するポールの形態には微妙に差異がある、個性かもしれない。とすれば、これらは霊魂とも思える。再生への期待をこめて霊魂(ポール)から枝を伸ばし花を咲かせているのだろうか。そして母は未だ霊魂としての成就を果たせず生身のまま、息子たちを想っているのだろうか(思っていて欲しいという願望か)。

 亡母に対する誹謗(飛礫)を、息子であるマグリットが防御している図ではないか、と思われる。
「お母さん、ぼくはあなたを、世間の誹謗中傷(飛礫)からお守りいたしますよ。秘密の競技者となって・・・」と吐露している。(二人の男はマグリットの分身にほかならず、どこから飛んでくるのか不明の飛礫を待ち受けているため、視点に違いがある)

 右端にカーテンが見えるのは、「閉じれば消える夢の世界です」という暗示かもしれない。(『マグリット』西村書店刊より)

『冬のスケッチ』61。

2015-03-23 06:41:37 | 宮沢賢治
        *
  すばるの下に二本の杉がたちまして
  杉の間に白い塚がありました。
  如是相是性如是体と合掌して


☆化(形、性質を変えて別のものになる)字を翻(形を変えてうつし)散(ばらばらにして)算(見当を付けると)現われる。
 逸(かくれて)吐く(言う)重(大切な)叙(思うことを述べる)を是(ただす)。
 双(ふたつ)の叙(思うことを述べる)を是(ただす)章(文章)を如(同じくらい)是(よしとする)。
 他意は業(善悪の全ての行い、それが将来及ぼす影響)の償いである。

『城』1915。

2015-03-23 06:28:24 | カフカ覚書
それからまた無後になったが、ついにKは、このみじかい会話がきっかけになって、フリーダがもうずっと長いこと心配そうにもの思いに沈んでいたこと、とりわけ、Kがハンスと話をしているあいだはずっとそうだったことを思いだして、いま薪を運びこみながら、なにをそんなに考えこんでいるのだい、と正面きってたずねた。


☆それからまた無言になったが、Kはみじかい会話を通じてフリーダ(平和)がいかに心配にみちた考えを思いだした。すべての荒地を注意したことなど、ハンスとの会話に思いだし、冥土の内なる欺瞞を正面きってたずねた。何をそんなに考え込んでいるのかと。