続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『赤いモデル』

2015-11-11 07:08:20 | 美術ノート

『赤いモデル』、いったい何のモデルなんだろうかと考え込んでしまう。
 明らかに裸足と見えるものが靴に変容していく不気味。舗装のないむき出しの地面、バックは石垣という空間。

 痛々しげである。傷はなく真っ新であるが、傷だらけ血だらけの惨状が容易に想像される態である。
 楽園・裕福と言った豊かな世界とは隔絶された《貧・労働》のイメージがある。

 赤い《The Red》は共産主義(もしくは前段階としての社会主義)を指しているのだろうか。国家による統制、私有財産制を廃止し、全財産を共有しようとする思想の《赤》なのかもしれない。目指すのはユートピア、誰もが願う平等ではあるが、大きな矛盾が立ちはだかる思想でもある。
 資本主義崩壊のための戦い、プロレタリアの独裁…翻弄される市民層。

 個性の尊重よりも等しく労働に就く義務を強制される傾向は「野蛮きわまりない」というマグリットの意見に同調するものである。

 これは強制労働を想起させる道具立てかもしれない。つまりは《赤い思想》を単純化し、暗示しているのだと思う。
 「足と革靴の接合」というのは、「人の足が一個の労働足り得る」ということを証明して見せた図であり、「途方もない習慣」というのは、支配されることの慣習化という意味だと思う。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』136。

2015-11-11 06:27:33 | 宮沢賢治

「ぼく、飛び下りて、あいつをとって、また飛び乗って見せようか。」ジョバンニは胸を躍らせて云ひました。


☆秘(人に隠して見せない)化(形、性質を変えて別のものになる)。
  秘(人に隠して見せない)であるが、常に教(神仏のおしえ)を訳(他の言語で言い換える)で、運(めぐらせている)。


『城』2141。

2015-11-11 06:21:18 | カフカ覚書

官房がお城の一部だとしても、バルナバスが出入りを許されている部屋がそうでしょうか。彼はいろんな部屋に出入りしちます。けれども、それは、官房全体の一部分にすぎないのです。そこから先は柵がしてあり、柵のむこうには、さらにべつの部屋があるのです。


☆秘書局が終末(死)の一部だとしても、バルナバス(生死の転換点)が入ることを許されている秘書局がそうでしょうか、それは一部にすぎないのです。そこから先は柵がしてあり、その先はまた他の秘書局があるのです。