波打つような床面は左側に傾いている・・この空間は全体微妙に歪んでいる。椅子に腰かけた人物もどこか存在感に欠け、浮いているような不安定感がある。おまけに頭髪がなく双頭という奇妙、着衣も紳士用のコートに婦人用のワンピース、眉は太く(男)口は赤い(女)、手や足先は細く小さい(女)のに脹脛や肩は男であっても通用する。
どう見ても非現実的な空間状況設定である。
この広すぎる(どこまで広いかさえ不明)桟敷席、第一桟敷席のバックが壁でないなんて!おかしい。
髪の長い少女の着衣は夏使用、腰かけた人物の着衣にはコートが掛けられている。
少女も人物も室内(桟敷席)の低い明度に対し明度彩度ともに高い(明るい)。
影になるべきはずの少女の足には光が射している。
この不協和音、不条理をどう受け入れたらいいのだろう。
少女は劇場を見下ろしている、奇妙な人物はこちらを見ている。
この桟敷席の人物(少女と双頭)は、現実の条件を外している、ゆえに非現実(the other world)冥界を疑ってもいいのではないか。
この桟敷席は天上から現世を見下ろしている桟敷席であり、郷愁と未練(執着)、あるいは慈愛の光景である。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
あなたとはご親類ででもいらつしやいますか)
(えゝえゝ もうごこごく遠いしんるいで)
いつたいなにをふざけてゐるのだ
みろ その馬ぐらゐあつた白犬が
はるかのはるかのむかふへ遁げてしまつて
いまではやつと南京鼠のくらゐにしかみえない
(あ わたくしの犬がにげました)
(追ひかけてもだめでせう)
(いや あれは高価いのです
おさへなくてはなりません
さよなら)
☆申(のべること)を塁(次々に重ねる)
掩(隠した)場(空間)を吐くことを兼ねている
頓(とどまる)難(災い)の況(ありさま)の訴(判決を求めること)を兼ねている
終(つい)の恒(常に変わらない)化(教え導くこと)である。
なにしろ、その気になれば、だれか下っぱの秘書を村に派遣して、調書をとらせるという手だってあるんですからね。それどころか、そのほうが規則にかなっているかもしれません。
☆それどころか、内密の知らせを村(死の近く)に送ることもあります。もしかすると、その方が相応かもしれません。