続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『桟敷席』④

2018-03-09 07:13:07 | 美術ノート

 波打つような床面は左側に傾いている・・この空間は全体微妙に歪んでいる。椅子に腰かけた人物もどこか存在感に欠け、浮いているような不安定感がある。おまけに頭髪がなく双頭という奇妙、着衣も紳士用のコートに婦人用のワンピース、眉は太く(男)口は赤い(女)、手や足先は細く小さい(女)のに脹脛や肩は男であっても通用する。
 どう見ても非現実的な空間状況設定である。

 この広すぎる(どこまで広いかさえ不明)桟敷席、第一桟敷席のバックが壁でないなんて!おかしい。
 髪の長い少女の着衣は夏使用、腰かけた人物の着衣にはコートが掛けられている。
 少女も人物も室内(桟敷席)の低い明度に対し明度彩度ともに高い(明るい)。
 影になるべきはずの少女の足には光が射している。
 この不協和音、不条理をどう受け入れたらいいのだろう。

 少女は劇場を見下ろしている、奇妙な人物はこちらを見ている。
 この桟敷席の人物(少女と双頭)は、現実の条件を外している、ゆえに非現実(the other world)冥界を疑ってもいいのではないか。

 この桟敷席は天上から現世を見下ろしている桟敷席であり、郷愁と未練(執着)、あるいは慈愛の光景である。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『真空溶媒』⑨

2018-03-09 06:40:45 | 宮沢賢治

    あなたとはご親類ででもいらつしやいますか)
   (えゝえゝ もうごこごく遠いしんるいで)
  いつたいなにをふざけてゐるのだ
  みろ その馬ぐらゐあつた白犬が
  はるかのはるかのむかふへ遁げてしまつて
  いまではやつと南京鼠のくらゐにしかみえない
   (あ わたくしの犬がにげました)
   (追ひかけてもだめでせう)
   (いや あれは高価いのです
    おさへなくてはなりません
    さよなら)


☆申(のべること)を塁(次々に重ねる)
 掩(隠した)場(空間)を吐くことを兼ねている
 頓(とどまる)難(災い)の況(ありさま)の訴(判決を求めること)を兼ねている
 終(つい)の恒(常に変わらない)化(教え導くこと)である。

 


『城』2899。

2018-03-09 06:28:27 | カフカ覚書

なにしろ、その気になれば、だれか下っぱの秘書を村に派遣して、調書をとらせるという手だってあるんですからね。それどころか、そのほうが規則にかなっているかもしれません。


☆それどころか、内密の知らせを村(死の近く)に送ることもあります。もしかすると、その方が相応かもしれません。