『無題』
男と女を想起させる形である。男らしきものの形は平面であり音符も平坦なメロディであるが影を付けたことで空間を生じさせ人物を立ち上がらせている。
一方のポール(立体)は女体を暗示する形を示し、楽譜もリズムを刻んでいる。何よりの相違はポール(木材)と化した木から、枝葉が茂るように伸びていることである。
フェンスの向こうは何もなく(虚無)、上方に黄みを帯びた彩色があることで異様な空気感(世界観)を醸し出しているのは、明らかにここは《現実世界でない》と断定できる要素である。
死後(あるいは異世界)に於いての男女(あるいは両親に限定か)の差異、エネルギーの放出、蘇りへの執着だろうか。
豊かさと凡庸、豊満と平板、狂気と冷静・・・女は狂おしいまでの情熱を有した形であるが、男にある進むべき歩むべき(足)が欠如している。
女の横暴に委縮する男、あるいは女の情熱に無関心な男の景にも見える。
《矛盾》明らかなる不一致、足並み揃えて歩く構図ではなく、空虚な風の中に偶々居合わせた二人、少なくとも幸福の絵図ではないが、不思議に想像を掻き立てる作品である。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
まつたくひぢかぜだ
たふれてしまひさうだ
砂漠でくされた駝鳥の卵
たしかに硫化水素ははひつてゐるし
ほかに無水亜硫酸
つまりこれはそらからの瓦斯の気流に二つある
しようとつして渦になつて硫黄華ができる
気流に二つあつて硫黄華ができる
(しつかりしなさい しつかり
もしもし しつかりしなさい
たうとう参つてしまつたな
そんならひとつお時計をちやうだいしますかな
おれのかくしに手を入れるのは
なにがいつたい保安掛りだ
必要がない どなつてやらうか
どなつてやらうか
どなつてやらうか
どなつ……
☆査(明らかにし)縛(いましめ)打(叩く)、調べて覧(見渡しよく見て)留まり、過(あやまち)を推しはかる。
謀(計画)を推しはかる。
吾(わたくし)は、立(論などがしっかり決まる)を算(見当をつける)。
我は詞(言葉)で記し留める。
字で化(教え導くこと)を留める記である。
化(形、性質を変えて別のものになる)記で留めている。
字で留める講(話)の化(教え導くこと)の記である。
留める字は、留める講(話)の化(教え導くこと)による。
算(見当をつける)字の系(つながり)の趣(考え)は新しい。
捕(とらえる)闇(不法な)果(結末)は必(そうなると決まっている)様(ありさま)である。
「ゲルステッカーとKである。ふたりとも来ているかね」
ふたりは名のりでた。が、それよりも先にイェレミーアスが、「わたしは、ここの客室付きのボーイなえ」と言って、モームスににっこりと肩をたたかれると、家のなかにもぐりこんでしまった。
☆「ゲルステッカーとK、ふたりともここにいるのかね」わたしはここの酒場(死の入口付近)にいます」と言い、モームスに向かい、一族を歓迎し罪過への侮辱と共に、復讐するために滑り込んだ。