続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『冒険の衣服』

2018-04-04 06:34:37 | 美術ノート

  『冒険の衣服』

 衣服と言いながら着衣のない裸婦が横たわっている。両手を上空に掲げ眼は瞑っている。(死人ではないということである)
 被りの布は膝下まで延び頭部から身体の右半分を被っている。(これは何を意味するのだろう)
 明らかに女性のシルエットだと思うが、胸と陰部は隠れて見えない、というか隠している。右手は女性のようであるが、左手の上腕は多少筋肉質ではないか。左右の足にも微妙な差異がある。

 状況設定はオサガメを泳がせることで《海底》を暗示し、床面は幾層にもなった地層を暗示している。つまり、時間の集積(歴史)の上にあるということであり、過去なのか未来なのかを断定できない時空にある。

 抵触するかのオサガメは鋭利な刃のような皮膚に描かれており、柔らかい裸体は損傷の危機を想起させる。
 全体のどかなムードが漂うが、触発の危機は静かに漂っている。しかし、眼を閉じた裸体はきわめて平静である。この不思議な空間をもって『冒険の衣服』とタイトルしている。平穏さは保たれるだろうか…肉食のオサガメ(危険)は、このまま通り過ぎていくだろうか。

 生命の危機、裸体の勝利、成功率はきわめて低い。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より) 


『真空溶媒』㉖

2018-04-04 06:21:43 | 宮沢賢治

  それでもどうせ質量不変の定律だから
  べつにどうにもなつてゐない
  といつたところでおれといふ
  この明らかな牧師の意識から
  ぐんぐんものが消えて行くとは情ない


☆悉(すべて)の霊(死者の魂)は、普く変(移り変わる)のが常である。
 慄(おそれおののく)冥(死後の世界)は、僕(わたくし)の恣(勝手な)意(思い)の私記である。
 照(あまねく光が当たる=平等)の考えを常としている。


『城』2916。

2018-04-04 06:11:25 | カフカ覚書

廊下の両側の壁は、天井までなく、途中で切れていた。これは、換気の必要からそうしてあるらしかった。というのは、どの部屋も、この深い、穴倉のような廊下に面した側に窓をもっていないようだったからである。


☆ここでの題(テーマ)の食(ハロー/死の入口)での小舟というやり方は、深い地の底にあるようだった。