続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『深淵の花』②

2018-04-12 06:34:09 | 美術ノート

 深淵の花と称するものは茎が不明である、要するに花という組織の体を成しておらず、また浮遊状態にある。つまりは重力の否定、精神界に咲く花として何かの象徴を暗示している。象徴というより、精神の闇、暗部…であり、有ると思えば在り、無いと思えば空無の領域にあるものである。
 噂の花といった類をも含めた精神界の淀みであり、唯一否定しがたい真実でもある。

 馬の鈴に似た球体、正しく球体であれば、それは永遠の真実でり究極の美であるが、口を開くかのような亀裂がある。その亀裂・割れ目こそが人間界の曖昧さを示すものであり、真実を含めた伝達という手段の開口である。

 切れ切れの集合体が花を騙っている異様さは、各個人の中にある花であり、世界全体の中の花である。
 歴史・伝説・噂の流布・隠れた真実etc、玉石混合の寄せ集められた、しかし深い眠りの底に沈められた幻視の花である。


(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)


『蠕虫舞手』②

2018-04-12 06:16:18 | 宮沢賢治

  日は黄金の薔薇
  赤いちひさな蠕虫が
  水とひかりをからだにまとひ
  ひとりでをどりをやつてゐる
   (えゝ エイト ガンマア イー スイツクス アルフア
           ことにもアラベスクの飾り文字)


☆化(形、性質を変えて別のものになる)講(話)である。
 魂の照(あまねく光が当たる=平等)の美(立派)。
 釈(意味を解き明かし)繕(つくろい直す)疇(たぐい)である。
 推しはかり、嘱(委ね)、問う辞(言葉)である。


『城』2922。

2018-04-12 06:00:59 | カフカ覚書

たぶん部屋のなかが息ぐるしかったためであろうか、外に出て、新聞を見ているのだった。それも、気を入れて読んでいるわけではなく、とこどき欠伸をしながら読むのをやめ、前かがみになって、廊下をながめていた。もしかすると、呼んでおいたのにまだやってこない陳情者を待っているのかもしれなかった。


☆たぶん(現世を)追いだされて、来世で通知を呼んでいるか、気分を変え、経過を見ていたのかもしれない、もしかすると、ぐずぐず遅れている先祖の連中を待っているのかもしれなかった。