赤黒い雲、不穏な空気が素早く過ぎて行く。時代の急速な流れが漂っている。
深い暗色の空と海…海を隔てた異国から新天地を求めてやって来た白人、侵略に目を瞑らざるを得ない先住民の苦悩。
赤色は燃え滾る血であり、不安と怒りの葛藤の炎であり、白い手は、白人を迎え入れざるを得ない降伏の白である。
押し寄せる白人たちの異世界の介入は許し難いが、時代は流れている。時代を制するのは強者、我々インデアンは譲歩せざるを得ない。
暗澹たる思いの首長の苦悩は燃え立つ炎と化す。
先祖代々の我が大地への白人(異邦人)たちの侵入を受け入れざるを得ない葛藤が火となり燃え上がる。
首長は怒りの炎に白人たちを包んだまま振り上げた手を静かに下ろし、沈思黙考する。火の時代の執念は今も燻っているかもしれない。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
水晶体や鞏幕の
オペラグラスにのぞかれて
をどつてゐるといはれても
真珠の泡を苦にするのなら
おまへもさつぱりらくぢやない
☆推しはかる照(あまねく光が当たる=平等)の他意。
経(常)なる幕(物事の初めと終わり)には、信(まこと)の趣(考え)である法(神仏の教え)の句(言葉)がある。
従僕は、Kの肩車にのって、上の壁の切れたところから部屋のなかをのぞいた。
「ベッドに寝ておいでだ」と、従僕は、肩車から降りながら言った。
☆死人はKを罪の上に乗せ、部屋の裂け目を戸外からのぞいた。
「愛している」と死人は罪を下ろしながら言った。