『一夜の博物館』
一夜の長短は分からない。ずっと長い時代を指しているのか、地球の億年の歴史上におけるほんの一夜に括られるものであるのか……。
四つに仕切られた箱は、十字を刻んでいるようでもある。
もしあなたの片手、片足が、罪を犯させるなら、それを切って捨てなさい(『マタイによる福音書』より)
中央にある木の実(『創世記』より)
わたしのほかに神があるか。わたしのほかに岩はない。(『イザヤ書』より)
切り取られた片手・(時間を経た)果実・不明な鉱物(岩)・・・そんな連想が浮かぶ。
では右下の人為的に模様が刻まれた平面(紙類)は何だろう。
あなたは自分のために刻んだ像を造ってはならない。(『申命記』より)等々、十の戒め(言葉)を山の中で火の中、雲の中、濃い雲の中から、大いなる声をもって、あなたがたの全会衆のお告げになった。
決して姿を現すことのない神の深い教えを深淵なる闇に隠したのではないか。
四つに仕切られた箱の中のそれぞれの物が多くの人々を魅了しえた時代があったのだとマグリットは遥か遠い未来の視点から告げているのではないか。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
それに日が雲に入つたし
わたしは石に座つてしびれが切れたし
水底の黒い木片は毛虫か海鼠のやうだしさ
それに第一おまへのかたちは見えないし
ほんとに溶けてしまつたのやら
それともみんなはじめから
おぼろに青い夢だやら
☆化(教え導く事運)を(めぐらせている)新しい釈(意味を解き明かす)である。
挫ける災(禍)を推しはかる体(ありさま)を告げる。
黙って遍もれなく)亡(死)を注(書き記す)
皆(すべて)蘇(よみがえる)題(テーマ)が逸(隠れている)
兼ねた様(ありさま)は、照(あまねく光が当たる=平等)を務めとしている。
「もちろん服を着たままですが、どうも眠つていらっしゃるらしいね。村へ来ると、生活の様子がちがうので、ときどきあんなふうに疲れておしまいになることがあるんです。
☆「罪はもちろん小さなものです。この薄明かりを信じたいが、村(死の入口付近)に来ると、生き方の違いから多くの傷痕により疲れてしまうのです。