雲がきれたかまた日がそそぐ
土のスープと草の列
黒くをどりはひるまの燈籠
泥のコロイドその底に
(ゆれるゆれるやなぎはゆれる)
☆運(めぐらせる)化(形、性質を変えて別のものになる)の努(つとめ)は、総て裂(バラバラに離す)と告げる。
套(おおい)から漏れだすことに泥(こだわり)、訂(文章をただす)。
『ことばの用法』『本来の意味』の二つの作品は…『新聞を読む男』を含めた連作である。父母に対する客観的な眼差しは、冷徹に過ぎるかもしれない。本当の距離を測ることでマグリットは自身の位置を確認したとも思える。
『ことばの用法』における白い領域は浮いているわけではなく、ある重さをもって着地している。幽霊のような不確実な形態は、真でも善でも美でもなく魂の抜け殻のようである。しかし、どこかに重さを感じ、均衡の持続を危惧されるイメージがある。つまり、動き出す気配をどこかに感じるのである。
canon/法令・corps de femme/女の死体・arbre/木の三文字に関連性を見るのは難しい、しかし、マグリットの個人的な感情には合致するものがあるのかもしれない。
文字の中に隠蔽された暗号のようなものを『ことばの用法』と皮肉めく言ったのである。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
オレンヂいろの日光のなかを
雉子はするするながれている
啼いている
それが雉子の声だ
☆化(教え導く)講(話)には、千(たくさん)の試(こころみ)の他意がある。
質(内容)の詞(言葉)は照(あまねく光が当たる=平等)である。
「調理場へ行ったのかね」
「いいえ、いの部屋よ」と、フリーダは答えた。「この下にわたしの部屋がありますの」
「そこへ連れていってくれたらよかったのに」と、Kは言った。「下へ行って、ちょっと腰をおろして食べるよ」
☆「いかさまかね」
「いいえ、わたしのテーマよ」と、彼女は答えた。
「わたしは先祖の下(隠れた)テーマを持っている」
「わたしも持っている」と、Kは言った。
「わたしも(そのテーマの)下へおり、先祖のことを少しばかり記したエッセイを持っている」