続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『傑作あるいは地平線の神秘』③

2019-03-20 07:00:31 | 美術ノート

 地平線に対して垂直に立つ三人の男、頭上にはそれぞれ月がある。(真ん中の男が少し小さいのは遠近の関係で背中合わせに見えるが、距離がある)
 この意味は何だろう。
 それぞれ南、東、西を向いた男たちは、同一人物の分解である。

 この画は動き(運動)が欠如している。静謐そのものであるが、夕刻の光景であるのに三日月が南中している。西空に見えるはずの三日月が頭上にあるのは矛盾した光景である。月が違うのか、地平線の傾きに問題があるのか。

 月は地球を一月かけて回る。つまり一日では15°の移動でしかないが、地球は360°回転しながら太陽の周りを一年かけて公転する。
 地平線は不動に見えるが、大きく回転しているし、少なくとも永遠の平行線ではない。

 この画における静止状態。遥かなる地平線、眼に見える光景の矛盾。
 見えること以上の物理的真理がこの地平線には隠れている。
 人が地平に垂直に立つことでさえ、本来疑惑の対象になるべき事柄である。

 眼に見えない力、重力や宇宙法則によって、わたし達は錯覚を余儀なくされ、見えない真実を見失う傾向にある。しかしそれは一方向から見えるものではなく、異なる時空からの見解であるから、分解された視点というものも肯定されるべき内実を含んでいる。したがってこれは、総合判断における隠喩の一パターンである。


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図より)


『オツベルと象』74

2019-03-20 06:53:27 | 宮沢賢治

とぢこめちまへ、畜生めじたばたしやがるな、丸太をそこへしばりつけろ。何ができるもんか。わざと力を減らしてあるんだ。


☆築(きずく)照(あまねく光が当たる=平等)を願うという他意である。
 化(形、性質を変えて別のものになる)という利器(便利な道具)が元(根本)である。


『城』3150。

2019-03-20 06:39:40 | カフカ覚書

そういう秘書たちでさえも、夜間尋問をしているあいだは、個人的観点が判断に好ましからぬ影響をおよぼしていることにほとんど気づかないのです。それどころか、初めからそういう影響を迎え入れようと力を入れてしまって、とびきりりっぱな仕事ができたと思いこんでいるのです。


☆死の審問をしている間は、不利な影響に気づかないのです。反対に最初から彼らに強い思い込みを持ち、最終的に特別によい仕事を成し遂げたなどと思い込んでいるのです。