🈞マグリット『影』②

　パイプは木製ならば木で出来ている。(共通項がある）
　パイプは立木より後ろにあるにもかかわらず、巨大である。
　パイプには立体と認識できる影がある。
　パイプはグレイで立木は黒、双方とも無彩色である。
　影そのものである立ち木に落ちている影やパイプの薄い影(薄いグレーの物の影が薄いグレイ？）のつき方にも違和感がある。
　この二つの対象は不思議に重量を感じさせない。
　対象物の大きさの比較(通念)を壊している、拒んでいるとも換言できる。
　立木は直立しているが単にシルエットの薄さであり、パイプは巨大に見えるが、定着感がない(浮いているような軽さである）
　空(背後の空間)は曙か暮色か（？）という曖昧さである。(上空はどんよりというより他の空間を遮るような暗色に変化している）
　地(定着面）は土色(大地）というより水面の青を思わせる。(青い地面はない、地球は青いらしいが海と森である）

　地球(現世)における条件をことごとく外している。
　遠近法・重力・地上における風景の彩色…etc

　奇妙なアンバランス、概念の崩壊・・・『The Shades』影の国、想像するしかない黄泉の国ではないか。


（写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より）

『オツベルと象』84

ところが弾丸は通らない。牙にあたればはねかへる。一疋なぞは斯う言つた。
「なかなかこいつはうるさいねえ。ぱちぱち顔へあたるんだ。」

　弾丸はダン・ガンと読んで、談、眼。
　牙はガと読んで、我。
　一疋はイツ・ヒツと読んで、逸、必。
　斯うはシと読んで、詞。
　言つたはゲンと読んで、現。
　顔はガンと読んで、願。


☆談（はなし）の眼(要)は二つある。
　我(割り当てたくし）が逸(隠した)必(かならずそうなると決まっている)詞(言葉)が現れることを願っている。

『城』３１６０。

実際、秘書たちはそうしています。しかも、最大限にね。彼らは、どのような意味からもできるかぎり心配のない尋問しかやりませんし、尋問のまえに綿密に検討し、その結果しだいでは、まぎわになってからでも尋問を中止したりします。


☆なるほどあなたたちは、そのことに関し最大限にそうしており、同じことを試みます。どのような意味からも恐れることなく同じ行為を試みるのです。試みた結果、最後の瞬間に、死との同化を強くするのです。