カーテン(幕)は遮蔽であると同時に開放でもあり、世界を区切り領域を創るものである。
ある聖人が創ったと自負する世界、海があり空が開けている。天と地、海と空・・・眩しく栄華を誇った世界観の展開は人々(大衆)を魅了するに余りあるものがあった。
固く信じた《神》の存在。太古の昔、地球は固まることなく闇の混迷の中を漂っていたのではないか。水と酸素が生物を誕生させた・・・思考のない空無の混沌である。
億年における時間のなかで猿から類人猿~二足歩行の人類へと進化した。
時を経て神話が生まれ伝承の神が祀り上げられ、やがて地球上には各所に求心的な《神/聖人》の存在が現れるようになり、人々は信仰(契約・約束)を育んだ。
ある聖人は「光あれ」と言われ、大空の上の水を天と名づけ、下の水を海と名付けた。
その地球の未来を誰も知らないが、いつか闇に還り形を失う日が来ないとは断言できない。果てしない宇宙の片隅にあるわが地球、聖人はその果てまでも生き延びるだろうか、そして青い空と海とを創った日の思い出を回想するだろうか・・・マグリットの夢想である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)