『上流社会』
上流社会とは何だろう。いわゆる支配階級であり、大衆の労働による生産物を搾取する人たちのことかもしれない。
作品は暗色のモーブ(ベタ)であり、時代を問うていない(人の世の常である)。
山高帽と着衣の人型シルエットが二面重なり合っており、一方は緑の集合、一方は海と空(大地)が描かれている。
つまり、人を想起させるが人ではなく、緑(生産物)や海・空(自然)を我が物に所有しているという状況の暗示である。摂理(神の配慮)だろうか。自然界すべてを治め支配するという理法は上流社会にのみ通用するものだったのか・・・。
上流社会における占拠の横暴は人(人型)の中に自然発生する構造かもしれない。
優位における当然の権利は、しかし社会の中でのみ成立する不条理である。
『上流社会』への静かなる眺望。反逆には遠く、ただ凝視する眼差しに皮肉が混じっているかもしれない。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)
トランペットは一生けん命歌ってゐます。
ヴァイオリンも二いろ風のやうに鳴ってゐます。
クラリネットもボーボーとそれに手伝ってゐます。
ゴーシュも口をりんと結んで眼を皿のやうにして楽譜をみつめながらもう一心に弾いてゐます。
☆逸(隠れた)章(文章)は、冥(死後の世界)の化(教え導き)である。
示すものは普く冥(死後の世界)である。
衆(人々)に伝える。
講(話)は訣(人と別れること)を兼ねており、新しい学(研究)を普く兼ねている。
逸(隠れているもの)は神(精神)の談(話)である。
ちなみにここは太陽系であり、トランペットはトから土星。
ヴァイオリンも二いろは、色から金星と水星(金色、水色)。
クラリネットは木製から木星。
ボーボーは燃えるから火星。
ゴーシュは地球。
Kは、それがおかしくて、眠りながらくすりと笑った。戦いは、長くはつづかなかった。Kは一歩一歩、しかも大股で前進していく。そもそもこんなものが戦いと言えるだろうか。本気の抵抗などありはしない。ときどき秘書がぴいぴいと悲鳴をあげるだけである。
☆戦いは長くは続かなかった。Kは重要な書物をずらした。要するに先祖の戦いだろうか、小舟は本気の障害である。先祖が秘書たちにキンキン言うだけである。