パターンは酷似している。大地(海や空までも)や緑(収穫物)を広く所有しているが、奥行きがない。平面的なものとして閉じ込めている。
争うことのない静けさ、しかし周囲は暗澹とした空気が漂い閉鎖的である。
山高帽、少なくとも労働者の帽子ではなく、直立した姿勢からは汗や労苦を感じない。
緑や自然は本来開放され外にあるべきものであり、内に独占するものではない。すなわち奢りである。
世界を我が物にしているかに見える上流社会の閉塞、暗澹とした空気の中に潜む反撃の正体は見えることなく隠れており、歴史は繰り返されるという逆転劇は常に上流社会を脅かす闇である。
永遠の約束のない上流という差異をシルエットで区切り、薄っぺらに圧縮。世界は果てなく遠く広いが、その一部分を所有するかの勘違い。
上流社会の安穏は、実は周囲の見えない反目に包まれている。
(写真は国立新美術館『マグリット』展/図録より)