続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

Ⅱ-5-4 水没Ⅱ

2019-12-17 06:51:10 | 美術ノート

   Ⅱ-5-4 水没Ⅱ

 数えるのが困難なほどの年輪、大樹である。それを人為の術で角柱にしたものを二本並べた上面に溝を掘り数多のカードの整列が無限という風に詰まっている。
 限りなく無限に近い現実の様相である。億年の眠り・・・。

 地球創生からの長い年月を想起させ、その中の人類が刻んだ時間の表記である。抽象的だが、きっちり集約された人類の時間。

 全ては海から誕生し、空無へと帰していく。
 繰り返される月日・年月、時間は不可逆であり、歴史に逆行はない。水地球であるわが棲家、過去に刻まれた時間は人の手の届かない海底深くに眠っているに違いない。

 人為、人の歴史を抽象化した作品である。そしてそれを「水没」と題している。
 金属(鉱物)は比重が高く水に沈むが、木材は水に沈み込むことはない。しかし、あえて「水没」である理由は・・・。

 作品にみる時間の重層、沈むはずのない木工が水を吸収し腐植し水没していく時間の提示。生成(誕生)と崩壊(死滅)の想像を超える長い時間の想定である。


 写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館


『忘れえぬ人々』52.

2019-12-17 06:41:38 | 国木田独歩

 秋山は半紙十枚ばかりの原稿らしいものを取上げた。その表紙には「忘れ得ぬ人々」と書いてある。


☆終(死)に算(見当をつけ)判(可否を定める)。
 詞(言葉)に逸(かくれたもの)が、毎(そのたびに)現れる考えである。
 趣(考え)は、常に漂っている。
 死とは、亡くなり匿(かくれ)尽(すべて無くなること)を認める処(ところ)である。


『城』3321。

2019-12-17 06:30:52 | カフカ覚書

しかし、従僕は、もうそんなことはまったく眼中になかった。彼は、自分の仕事を完了したのだ車のハンドルをさして、もうひとりの従僕にそれをにぎらせると、来たときとおなじように、ただもっと満足げに、車がはねあがるほど足早に立ち去っていった。


☆しかし、悲しいことに、従僕は全くそのことには関心を持たず、自身の現場証明の支度をし、小さな秤(平等)の操法を示した。他の従僕も理解し、戸惑っていたが再び離れていった。小さな計り(平等)が飛び上がるほど迅速に安穏に出現した。