でで虫の繰り出す肉に後れをとる
かたつむりの歩みを見ていたが、ひょっと目を離したら、もう見えなくなっていた。
でで虫(出出虫)はデ・スイ・チュウと読んで、出、推、注。
繰り出すはソウ・スイと読んで、双、推。
肉はニクと読んで、二句。
後れをとる(後取)はコウ・シュと読んで、考、趣。
☆出(出だし/物事の始まり)を推しはかり、注(書き記す)。
双(二つ)を推しはかる。
二句の考えを趣(志している)。
金屏風何んとすばやくたたむこと
金屏風があることで非日常の空間を成していたが、畳まれてアッという間に日常の景に戻ってしまった。
金屏風はコン・ヘイ・フウと読んで、懇、蔽、封。
何はカと読んで、過。
すばやくたたむこと(素早畳む事)はス・ソウ・ジョウ・ジと読んで、守、操、情事。
☆懇ろを蔽(隠して)封じこめる過(あやまち)。
守って操(上手にさばく)情事。
草冰る伝大友皇子の墓
極寒、きわめて厳しい寒さの地に、大友皇子の墓だと伝えられるものがあった。
草冰るはソウ・ヒョウと読んで、双、表。
伝はテンと読んで、転。
大友皇子はタイ・ユウ・コウ・シと読んで、他意、游、考、詞。
墓はボと読んで、簿。
☆双(二つ)が表れる転(物事が移り変わる/ひっくり返る)他意を游(自由に楽しむ)考えの詞(言葉)の簿(ノート)がある。
荒梅雨の尸焼く音憚らず
死体を焼く音が辺りを憚ることなく凄い轟音をたてている。梅雨の荒れ模様のなか音の強さは無念さをにじませているように思われた。
荒梅雨はコウ・バイ・ウと読んで、恒、媒、有。
尸はシと読んで、詞。
焼くはショウと読んで、衝。
音はインと読んで、隠。
憚らずはタンと読んで、譚。
☆恒(常に)媒(なかだち)の有(存在)は詞(言葉)であり、衝(重要)である。
隠れている譚(物語)がある。
金蠅も銀蠅も来よ鬱頭
金蠅も銀蠅も何だって来なさいよ、こちらは心が塞がる頭の中だもの。
金はキンと読んで、近。
蠅ハヨウと読んで、様。
銀はギンと読んで、吟。
来よはライと読んで、磊。
鬱頭はウツトウと読んで、うっとおしい。
☆近(距離が近い血縁や関係)の様子も、吟(声を出して歌う)様子も、うっとおしい限りである。
オサガメがいることで、エリアは海の中だとわかる、相の違い。
現世では生息不能な相であるから、ここは物理的法則の通用しない場所であり、想像上の寓意(霊界)だと憶測する。
女は死んでいるが生きている。着衣はないが、両手を挙げるエネルギーがあり、何かを求めている。
手の平の形からオサガメに対する防御だろうか、拒否とも再生(蘇生)ともとれるが、それ以上ではない。諦念と執着の混濁、迷いを抱いている。
地層の上、深い海の底。億年の地球の襞にやがて同化していくのだろうか。
自由も解放もない時空に眠る女は、儚くも蘇生の夢を見ている。霊界における冒険は大胆な夢想にすぎない。、マグリットの極めて冷静な母への追慕である。
写真は『マグリット展』図録より
『お父さん、お魚はどこへ行つたの。』
『魚かい。魚はこはい所へ行つた。』
『こはいよ、お父さん。』
『いゝいゝ、大丈夫だ。心配するな。そら、樺の花が流れて来た。ごらん、きれいだろう。』
☆普く諦(真理)は浄(穢れない)。
普く真(まこと)を拝(尊重する)。
化(形、性質を変えて別のものになる)で、化(教え導く)。
縷(細く長くつらなること)に頼る。
ですから、なんのためにおめかしなどする必要がありましょうか。それどころか、着るものさえ満足に着てないしまつです。ところが、わたしは、突然酒場に配置替えになったのです。自分の地位を維持しようとおもえばの話ですが、ここではまるで正反対のことが必要なのです。
☆なんのために装うのでしょう。そうする必要はありません。ペーピは突然酒場(死の入口)に移されました。そこにいようとすればの話ですが、来世ではまったく逆のことが必要なのです。