続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)すでにふかく。

2021-05-25 07:26:10 | 飯島晴子

   すでにふかく眠る男ら鳥かぶと

 すでにふかく(既深)はキ・シンと読んで、鬼、心。
 眠る男ら(眠男等)はミン・ダン・トウと読んで、眠、断、套。
 鳥かぶと(鳥兜)はチョウ・トウと読んで、弔、悼。
☆鬼(死者)の心は眠っている。
 断(たちきり)套(覆い)弔(とむらい)悼(いたむ)。

 すでにふかく(既深)はキ・ジンと読んで、寄、人。
 眠る男ら(眠男等)はミン・ダン・トウと読んで、民、談、問う。
 鳥かぶと(鳥兜)はチョウ・トウと読んで、聴、答。
☆寄(身をよせる)人民の談(話)を問い、聴(注意深く聞いて)答える。

 すでにふかく(既深)はキ・シン・ミンと読んで、寄進。
 眠る男ら(眠男等)はミン、ナン、トウと読んで、民、納、頭。
 鳥かぶと(鳥兜)はチョウ・トウと読んで、徴、統。
☆寄進(社寺などに金品を寄付すること)を民(一般の人)が納める。
 頭(おさ)は徴(取り立て集め)統(一つにまとめ納める)。

※トリカブトは死に至らしめる猛毒であるが、花岡青洲はトリカブトとケシの調合で麻酔薬を作ったと聞く。


鈴木しづ子(私的解釈)黒人と。

2021-05-25 06:58:28 | 鈴木しづ子

   黒人と踊る手さきやさくら散る

 黒人と踊る手さき・・・手指に感じる官能、わたしはこの人を受け入れている。この人への愛を直感している。
 そうに違いない! わたしの中の日本、ちっぽけな日本を固持する必要があっただろうか。今この時、わたしの中の桜は散り落ちていく。
 広い世界の片隅で巡り合えた他国の人によって儚くも桜は散ってしまった、と同時に新しい花がわたしの胸に花弁を広げようとしている。

 手さきの痺れ、抵抗が溶解した瞬間、わたしはこの人を愛していることに気づく。この男性が偶然黒人(外国人)であるという事実によってわたしの中のさくらは散り、日本からの解放を得た。踊りながら、酔いながら…わたしは愛を実感している。この選択に迷いはない・・・。

※ちなみに人類の祖はアフリカのお母さんと聞いている。(DNAは女性でしか辿れないらしい)


若林奮『1-5-8』

2021-05-25 06:35:04 | 美術ノート

   1-5-8 振動尺試作Ⅱ

 斜めにカットされた切り口には接続を思わせる突起があり、長い直方体は規則的に刻まれた線条が見える。これらは台(地上)にあり、前後に抑え金のようなものがある。

 バラバラに離散するイメージがあるが決してそうならず固定は原則かもしれない。規則的、乱れのない並列は《時間》を想起させる。時間には振動の波は無いのだろうか、少なくとも地球上では歪みの報告はない。この作品を時間と限定したわけではないが、時間に質量があるとは聞いていない。
 この物は確かに質量をもって提示されている。

 時間の中に凝縮された出来事、歴史は、時間の中に留まり、決して列を乱すことはない。しかし、時間を抑制するものなどあるだろうか。
 この物(作品)は沈黙し決して語ることはないが、鑑賞者に訴えるものがある。その具体的な意味を感知できないが、無抵抗であり拡散がない。ストレートにひたすら接続を余儀なくされるもの、という印象である。

 作家の説明はない、しかし体感した世界観(空気)を質量ある形に置換しようと試みる静謐な吐息、あるいは迫力(エネルギー)を見逃すことができない。


 写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館


『城』3658。

2021-05-25 06:23:45 | カフカ覚書

お内儀は、腰をかけるように、とKに長椅子をすすめた。自分は、立ち机のそばにある回転椅子に腰をおろした。
「仕立て仕事は、一度も習ったことがないのですか」と、お内儀はたずねた。
「ええ、一度もありません」
「じゃ、どんなお仕事をなさっているの」
「測量師です」


☆女主人は、Kを社会から追放された人かもしれないと見て、説教台のそばの回転いすに腰を下ろした。
「先祖の傷痕を皮肉ったことはありませんか」
「いいえ、一度も」
「では何をしていたのですか」
「土地がないことに気づいた者です」
※つまり放浪者ということ。