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『与えられたとせよ:(1)落ちる水、(2)照明用ガス』
地球創生、人類の始まり、連鎖の歴史…現存の証明、デュシャンの総決算。
《わたし達はどうしてここにたどり着いたのか、そして現今ある証明》
落ちる水、水惑星である地球。
大気圏には重力があり、落ちるべくして落ちることで人、あるいは生物などあらゆるものは地球内に生き、生命はその連鎖を余儀なくされている。
照明用ガス、太陽の惑星である地球。
太陽からのエネルギーにより、生物は眩しい明るさと適温を得て生存し、光合成による酸素の供給が生命維持の鍵を担っている。
落ちる水、照明用ガスは生命連鎖を大きく支持しており、欠けることは《死》を意味する。
正面の木製ドア、ここには人類の叡智の原初がある。レンガは日干しか焼いたものかは分からないが、土を固め、雨・風・敵からの防御法を発見。アーチ型は力学の原点であり、その耐久性には驚くべきものがある。
ドアに張られた板材の劣化、修復の跡には長い年月を想起させる(幾たびかの作り替えも十分考えられる)。あったかもしれない窓らしきものは塞がれており、このドアの向こうに開かれるべきドアにはなっていない。しかし凝視見分すると、眼の高さに二つの覗き穴がある。
決して開けることの出来ない開口部(ドア)、歴史(過去)は断じて直視できない世界であるが、手段を駆使して、その扉を開こうとしたデュシャンの実験に終結はない。しかし、終結がないのは必然であり、続行のプロセスは限りなく完結に近いものだと確信する。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより
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