Ⅱ-1-10 大気中の緑色に属するものⅡ(部分)
人間の瀬よりもずっと高く、垂直に切り立っている壁、断層と言うか断片の重層は鑑賞者を包囲し、脱出が不可能であるかの脅威で迫る。
遠くに見える山、しかし近づくと上ることも下りることもできない絶壁が立ちはだかっているという感想である。
静謐だが威圧感があり、触れ得ない世界(領域)という態である。
これを『大気中の緑色に属するもの』と、タイトルされても緑色は見当たらず、緑色の意味さえ把握できない。緑、太陽の光を受け光合成によって酸素を排出することを可能とする唯一の《緑》、植物を指すのだろうか。その緑色に属するものと言っている。しかも大気中とある。
大気中、地球は確かに大気に囲まれており、大気中の地球である。
《緑色に属するもの》、生きるのに必須である酸素を出す緑(植物)に属するものとは《大地》ではないか。
そしてわたし達の存在は総て緑色に依存している。
「大気中の緑色に属するもの」とは《存在そのもの》である。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館
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