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『フレッシュ・ウィドウ』
フランス式窓(フレンチ・ウィドウ)のミニチュアを『フレッシュ・ウィドウ』と名付けて差し出す。「なりたての未亡人」という奇妙なタイトルである。
夫が死亡した直後の未亡人とこの作品(窓)にどんな関連があるというのだろう。窓枠の中は黒(革)で覆われ見えない。本来窓というものは覗き見るための開口であり、閉ざしていては窓として機能しているとは言えず、窓としての役目を果たさない窓である。
閉鎖された窓、鑑賞者は隔てられた異空間を見ることはできないが、そこにはどうやら(死)という事実が内在しているらしい。死に遭遇した生をフレッシュと呼称する斬新さ。深い哀惜の念ではなく(新しい人)であるとする。(こんな考えがあるだろうか?)
!!、これは自身の変身の告白ではないか。
両性…二つの性、デュシャンは自分の中にある雄(男)を死亡させ、残された雌(女)を生きるというメッセージ、ある意味《洒落》であり、『ローズ・セラヴィ』になった瞬間である。
(写真は『マルセル・デュシャン』美術出版社刊)
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