続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

若林奮Ⅰ-1-8[無題]

2015-08-28 07:09:33 | 美術ノート
 螺旋状に削られた円錐形。線状は上部に向かって上りきるように連続している。トップの狭い面は鋭角ではなく平らに見える。

 作品を見る視線は上部へ導かれるが、下部(床面)へと下降していく視線の動きも同時に含まれる。一本の線状は上下の動きを含み、見る側の視線も上下の運動を視野に収めることになる。

 それはこの物の総体を眺めることができるからで、この物の一部に立ち、視野を塞がれてしまえばそれはまた違う景色として現存することになるはずである。

 眼で追うことの出来る視界は、距離と遮蔽物の有無によって決定されるが、作品の提示は在るという事実のみに集中することが可能である。

 実体とそれが引き起こす空想の間には曖昧な揺れ(振動)が生じ、《もし》を限りなく広げていけば、それは、自身の所有しうる空間となる。

 見る者と対象物の間には距離という不確定な空間が常に存在している。
 それを作品として固定する作家の意思を、可能な限り感じ得ることが出来ればと思う。

 風景は表裏を見せない。この作品は隠されたもう一つの世界を手探りする試行の始まりではないか。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮』展・図録より)

やっと涼しくなったので。

2015-08-28 06:38:28 | 今日の一枚。
 基本、一人でいるときはエアコンを点けないので猛暑の間は、ただひたすらボンヤリ汗を流しながら何も手につかないでいた。

 でも昨今の涼しさ(嬉しい)。気持ちよくなって、早速やる気が沸々。

 《NHK「すてきにハンドメイド」7月号、タックいっぱい・ころりんバック(水野佳子)》を見て作ってみた。

このデザイン考えた水野佳子先生スゴイです!

 超簡単なのに可愛い仕上がり。ちなみに水玉模様の生地は百均(ダイソー)。渋めのグレーが気に入って衝動買い(衝動買いのレベルが低すぎ?)

『銀河鉄道の夜』61。

2015-08-28 06:30:05 | 宮沢賢治
   四、ケンタウル祭の夜

 ジョバンニは、口笛を吹いてゐるやうなさびしい口付きで、檜のまっ黒にならんだ町の坂を下りて来たのでした。


☆考えの適(ふさわしいもの)を推しはかると、講(はなし)は普く廻(まわる/もとにもどる)を告げる。
 懲(過ちを繰り返さないようにこらしめる)範(てほん)で、解(悟る)記である。

『城』2066。

2015-08-28 06:19:34 | カフカ覚書
「あんたは、いつも悲しそうにしていますね、アマーリア」と、Kは言った。「なにか悩みごとでもあるんですか。他人には言えないことですか。ぼくは、あんたのような田舎娘にお目にかかったことがない。


☆あなたはいつも悲しそうにしていますね、アマーリア(作り話/マリア)と、Kは言った。何が君を苦しめるんですか、言えないことですか。わたしはあなたのような企みの作り話を見たことがありません。

若林奮Ⅰ-1-7[無題]

2015-08-27 06:59:42 | 美術ノート
 1-1-7…ぼこぼこ丸い突起状のものが無数に出ている太い棒状の断片は曲線状に歪んでいる。

 この物体(作品)は地上(床面)に立っているが、見たところ極めて不安定ともいえる危機感を孕んだ形態の有り様である。(倒れないのだろうか)という一線を死守していることが、見る側を緊張させ、思わず力んでしまうという関係を生じさせている。

 気持ちの不協和音を打ち消せない状況/空気である。
 この物は何かの断片なのだろうか、この物が独立して存在していることに違和感がある。この物の所有する空気は見る者を不安定に引き込み、手を差し出し抑えようとする衝動すら覚えてしまう。

 存在価値を問うとしても、何にも結び付けることの出来ない物体である。しかも見る者の視覚を負の方向へ導いてしまう不思議な物体である。負…不安を誘引する心理。

 倒れるかもしれないという予兆を孕んだ空気感は正体の知れない不安を喚起する。ぼこぼことした突起の手触りは、内部の何らかの異変のようでもある。危険なカーブも、この物体そのものが横に倒れていれば、緩く安定を示すものになる。しかし、作品はこの立ち位置なのである。

 わたし達見る者は、時間を想定する。
 現時点に付着しているような密な時間、つまり、この先の時間を想像するから不安定を余儀なくされるのである。そしてその時、この作品の持つ不思議な引力に気付かされる。


(写真は神奈川県立近代美術館『若林奮』図録より)

『城』2065。

2015-08-27 06:29:11 | カフカ覚書
記憶の糸をたどってみると、最初の晩からKをとまどわせたのは、この視線であったし、それどころか、この家族を見るなりすぐに感じたあのいやな印象も、たぶんこの視線のせいであったという気がした。と言っても、この視線そのものは、けっしていやらしいものではなく、うちとけはしないものの、素直さにみちていた。


☆Kは思い出してみると、彼の禁固の様子は同じであり、この眺めであった。それどころかこの一族を見るなりすぐに感じた不快な印象も、多分この眺めのせいであったという気がした。といってもこの眺めそのものは、決して酷いものではなく、打ち解けはしないものの、誠実さに満ちていた。

若林奮Ⅰ-1-4 [無題][Untitled]

2015-08-26 06:31:59 | 美術ノート
 少女だろうか、膝を立て横になっている裸身の少女。膝の上には羽のある昆虫(蠅)が乗り、少女と交信しているかの流れ、一体感が表現されている。
 少女の体内に何かを吹き込んでいる、あるいは少女が飛翔体に何かを吹き込んでいるのだろうか。
 この関係は極めてエロティックである。

 人類でない類の精気との交信。
 飛翔体である蠅は動物に分類される、人類以外の動物からの精気の注入ということかもしれない。
神聖なる少女の異変、目覚め。
 眠りの領域の中での夢空間。
 意図せず、無自覚なまま少女が女に変貌していく性の目覚め。

 作家は男性である。少女の上に男が乗れば、単なる情交であり、猥褻なシーンに過ぎない。

 しかし現実には、非現実という時空の狭間がある。
 少女が女に変貌していく時空の鼓動や疼きを、股を閉じたままの夢空間に惹き入れた作家の側の胸の鼓動も伝わってくる。


(写真は神奈川県立近代美術館/葉山『若林奮 飛葉と振動』展・図録より)

『銀河鉄道の夜』59。

2015-08-26 06:07:29 | 宮沢賢治
「もっと遊んでおいで。カンパネルラさんと一緒なら心配はないから。」
「あゝきっと一緒だよ。お母さん、窓をしめて置かうか。」


☆幽(死者の世界)に逸(かくれている)庶(数多く)の辛(苦しい)輩(人たち)や、逸(隠れている)諸(もろもろ)の慕(懐かしく思う)相(すがた)の血(血縁)がいる。

『城』2064。

2015-08-26 05:56:35 | カフカ覚書
こういう視線になる原因は、元気がないからでも、当惑や無礼のせいでもなく、たえず他のどんな感情にもまして孤独を強く望んでいるためであるようにおもえた。この孤独癖は、もしかしたらこんなふうにしてしか彼女自身にも意識されないものかもしれない。


☆区別された先祖の永遠、他のどんな感覚にもまして孤独な小舟の要求は、ひょっとして単に悟りの意識からきたものかもしれない。