続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『飯島晴子』(私的解釈)63

2020-06-29 07:28:15 | 飯島晴子

   綿虫の綿を欲張る天気かな

 綿虫、綿(雪)に似た分泌物を出す初冬の虫で雪を予感させることから、綿虫の綿を欲張るように見える景色、雪の季節の到来、その空気感を天気に例えて詠ったのだと思う。

 綿はメンと読んで、面。
 虫はムシと読んで、無視。
 欲張るはヨク・チョウと読んで、抑、諜。
 天気はテンキと読んで、天機。
☆面(顔)を無視したので、面(顔)を抑(低くして)諜(さぐる)天機(天子ここは夫)の機嫌かな。

 綿はメンと読んで、免。
 虫はムシと読んで、無死。
 欲張るはヨク・チョウと読んで、抑、打。
 天気はテンキと読んで、転、機。
☆免れる無死(ノーアウト)。面(顔を見合わせて)抑えて打ち、転(ひっくり返した)機(チャンス)。


R.M『深淵の花』

2020-06-29 06:39:57 | 美術ノート

   『深淵の花』

 この場に立っていられないような怪しさ、怖い空気感である。描かれているすべてがこの世のものでないような異様さであり、調和という点では彩色の寒色系のみで、距離感や奥行きのない平面とも思える拡がりである。
 左の山はおぼろ、右の山はつるつる光沢があり急勾配というより絶壁の態である。
 画面下は漆黒であり、馬の鈴の花は硬質で明らかに奇体である。それを包む葉は、確かに葉の態をなしているが、取って付けたような不自然さである。
 空は不気味に淀んでいるがずっと向こうには光があるらしい、にもかかわらず、馬の鈴には手前からの光が当たっている。

 この光景に答えはあるのだろうか。人知の入りこむ隙のない深淵に咲く花。
 馬の鈴の口から音が出る、意味に換言しにくい音色、何かを知らせる合図。
 険悪、危険、攻撃的な泡。無意味であり責任のない集合体。

 この深淵の花は誰の所有だろうか、危険な領域、接近禁止の闇。棘も武器もない、しかし、開いた口がある。
 決して垣間見ることの出来ない深淵、奥深くに潜む非情・冷酷な花である。


 写真は『マグリット展』図録より


『やまなし』19.

2020-06-29 06:31:14 | 宮沢賢治

 泡と一緒に、白い樺の花びらが天井をたくさんすべつて来ました。
『こはいよ、お父さん。』弟の蟹も云ひました。
 光の網はゆらゆら、のびたりちゞんだり、花びらの影はしづかに砂をすべりました。


☆法(神仏の教え)が、逸(隠れている)諸(もろもろ)を吐く。
 化(形、性質を変えて別のものになる)で化(教え導く)。
 講(話)の望みは化(教え導くこと)を永(とこしえ)に査(調べること)である。


『城』3448。

2020-06-29 06:24:02 | カフカ覚書

たえず人びとの眼にさらされていて、なかにはとても洗練された、注意ぶかいお客さまもおられますから、いつもできるだけ上品な、見ぐるしくない格好をしていなくてはなりません。


☆常に人の目があり、なかには大変注意深い人たちがいて、常にその場所では繊細で気持ちのいい様子をしていなくてはなりません。


『飯島晴子』(私的解釈)62

2020-06-28 08:18:01 | 飯島晴子

   鷹峯小学校の松手入れ

 晩秋になり、鷹峯小学校では古葉を取り除き風通しを良くするための松の手入れをしている。

 鷹はヨウと読んで、妖。
 峯はホウと読んで、崩。
 小学校はショウ・ガク・コウと読んで、妾、愕、厚。
 松はショウと読んで、粧。
☆妖(艶やか)だけれど崩(くずれている)妾。
 愕(驚くような)厚い化粧の手入れをする。

 鷹はヨウと読んで、拗。
 峯はホウと読んで、方。
 小学校はショウ・ガク・コウと読んで、笑、愕、考。
 松手入れは(ショウ・シュ・ニュウ)と読んで、唱、趣、new。
☆拗(ねじまげた)方(やり方)を笑う。
 愕(驚くような)趣(考え)を唱えるのは新しい。


『飯島晴子』(私的解釈)61

2020-06-28 07:55:17 | 飯島晴子

   めがるかやをがるかやとて踏みまよふ

 (めがるがや)を(がるかや)と呼んでいいのか見当をつきかねている。

 めがるかや(雌刈萱)はシ・カル・カンと読んで、子、離る、監。
 がるかや(刈萱)ハガイ・ケンと読んで、外見。
 踏みはトウと読んで、問う。
 まよふ(迷)はメイと読んで、迷。
☆子が離る(遠ざかる)のを監(見張っている)。
 外見(見かけ/外観)を問い、迷(判断をつきかねている)。

 めがるかや(雌刈萱)はメ・ガイ・ケンと読んで、目、我意、兼。
 がるかや(刈萱)はカイ・ケンと読んで、皆、兼。
 踏みはトウと読んで、套。
 まよふ(迷)はメイと読んで、瞑。
☆目(ねらい)は我意を兼ねている、皆(すべて)兼ねている。
 套(被って)瞑(暗くてよく見えないようにしている)。


『飯島晴子』(私的解釈)60

2020-06-28 07:36:11 | 飯島晴子

   けむり茸ぱたぱたと踏みいざ後生

 けむり茸を足で蹴ると黄色の煙が上がる。パタパタと面白くて踏んだけど、ごめんね。次に生まれ変わる時には・・・。

 けむり(煙)はエンと読んで、艶。
 茸はジョウと読んで、娘。
 踏みはトウと読んで、蕩。
 後生はコウ・セイと読んで、高、声。
☆艶っぽい娘はパタパタと蕩(だらしなく)、いざという時高い声を出す。

 けむり(煙)はエンと読んで、掩。
 茸はジョウと読んで、杖。
 踏みはトウと読んで、倒。
 後生はコウ・セイと読んで、構、整。
☆掩(隠した)杖、ぱたぱたと倒し、いざとなると構(組み立て)整える。


『飯島晴子』(私的解釈)59

2020-06-27 09:46:57 | 飯島晴子

   白馬の四肢の静脈露犇と

 白馬の四肢、静脈がひしめいて見えるわ、ホント!!

 白馬はハク・メと読んで。吐く、目。
 四肢はシ・シと読んで、詞、諮。
 静脈はジョウ・ミヤクと読んで、省、三訳。
 露犇はロ・ホンと読んで、露、翻。
☆吐く目(ねらい)は、詞(言葉)で諮(はかる)。
 省(注意して見ると)三訳(三つの訳)が露(現れる)。
 翻(形を変えて作り変えている)。

 白馬はハク・バと読んで、搏、馬。
 四肢はシシと読んで、死屍。
 静脈露犇はジョウ・ミャクロ・ホンと読んで、場、脈路、奔。
☆搏たれた馬の死屍(死体)は、その場の脈路(路上)に奔(そのままになっていた)。
  


『飯島晴子』(私的解釈)58

2020-06-27 09:30:07 | 飯島晴子

   死ぬ人の大わがままと初蛙

 死ぬしかない状況での大わがまま・・・とりもなおさず「生きたい」という望みであり、卵から孵った蛙という小さなものとの対比が切なく辛い。

 死ぬはシと読んで、詞。
 人はニンと読んで、認。
 大わがまま(大我儘)はタイ・ガ・ジンと読んで、他意、画、腎。
 初蛙はショ・ワと読んで、諸、和。
☆詞(言葉)を認(見分けると)他意がある。
 描く腎(かなめ)は諸(もろもろ)の和(調和)である。

 死ぬはシと読んで、姿。
 人はジンと読んで、腎。
 大わがまま(大我儘)はタイ・ガ・ジンと読んで、体、雅、尽。
 初蛙はショ・ワと読んで、諸、話。
☆姿の腎(かなめ)は、体が雅(優美)であることに尽きる。
 庶(みんな、もろびと、大衆)の話である。


『飯島晴子』(私的解釈)57

2020-06-27 08:01:23 | 飯島晴子

   青淵を幽かにもどる男の雛は

 雛流し、女の祭りだから男の雛はない。(淡島神社の雛流しを見学したことがあるが、今は船に乗せ、一回りしてもどってくる。神事は厳か。)

 青淵はショウ・エンと読んで、衝・掩。
 幽かにはユウと読んで、雄。
 もどる(戻)はレイと読んで、領。
 男はナンと読んで、難。
 雛はスと読んで、守。
☆衝(大事なところ)を掩(隠す)。
 雄(男)が(女を)領(自分のものにする)難(禍)から、守るために。

 青淵はショウ・エンと読んで、妾、艶。
 幽かにはユウと読んで、誘。
 もどる(戻)はレイと読んで、励。
 男はナンと読んで、軟。
 雛はスウと読んで、数。
☆妾は艶(色気)で誘(惑わすこと)に励む。
 軟(やわらかい)数(図りごと/企み)である。

※『寒晴』はカンショウと読んで、換称。修辞法の一つ、提喩のうち、固有の名称とその同類一般との間で起こる表現。