そして、風と雪と、ぼさぼさの灰のやうな雪のなかで、ほんたうに日は暮れゆきは夜ぢゆう降つて降つて降つたのです。やつと夜明けに近いころ、雪婆んごはも一度、南から北に馳せながら云ひました。
風と雪・・・風はフと読んで、訃(死の報せ)。雪はセツと読んで、折(死ぬ)。あるいは幽鬼。
皆(すべて)は、《死》が降つて(コウと読んで、薨/みまかる)降つて降つたという死の境界(領域)の景色。
雪婆んごはも一度、南から北に馳せながら・・・南はナンと読みnone、北はノース/northからnothingを想起させる。つまり、無から無へ・・・実在ではないということだと思う。(二重の、も一つの話として)