・この戦争の政治的性格(歴史的性格)を規定することは、今決定的に重要であり、この試みなしには、現在、世界で始まっている「新冷戦」=世界的「国家間争闘戦」(覇権争い)には対処できない。
かつ、反戦運動の歴史的後退を防ぐことはできない。 以下は、私の「覚え書き的試論」である。
・この世界的危機ー戦争の始まりを、あえて、2018年のアメリカの「国家安全保障戦略(NSS)」による「対中ロ競争戦略」の開始=新冷戦の歴史的始まりからとする(2014年の東ウクライナ戦争を基点とはしない)。
・この「対中ロ競争戦略」によってアメリカは、世界的な帝国主義的争闘戦(覇権戦争)に突入した。
・これがアジア太平洋においては、日米を軸とする「対中包囲戦略」として発動され、「Quad」、「AUKUS」などの英仏豪を巻き込んだ、対中政治・軍事態勢がつくられている。
・ヨーロッパにおいては、このアメリカの対ロ競争戦略は、東西冷戦後から一貫して引き継がれてきた、東欧へのアメリカの覇権政策――NATOの東方拡大政策として強化され、これに欧州もまた巻き込まれてきた。
・ウクライナの「民族運動」(「民族解放運動」ではない)も、歴史的なロシアのウクライナ民族への抑圧政策の中で、このアメリカの東欧覇権戦略に乗っかり、それを利用して進められてきた。
・したがって、このロシアーウクライナ戦争の政治的性格は、端的にいえば、「米ロ間の帝国主義的争闘戦」(覇権争い)に、ウクライナ民族運動が巻き込まれた、「本質的に帝国主義間戦争」と見るべきだ。
・問題は、この米ロ間の「本質的に帝国主義間戦争」に、欧州と日本(そして中国も!)も巻き込まれる「世界的戦争」(新冷戦の本格的始まり)に発展しようとしていることである。
・この戦争を「専制ロシアとウクライナー民主主義国間の戦争」と規定する大きな流れがあるが、これは、第2次世界大戦の、歴史的規定の誤りにも起因する。
・第2次大戦は、独伊日対米欧の「帝国主義間戦争」にソ連が巻き込まれた世界大戦であり、アジア的には、中国ーアジア市場の争闘(覇権)を巡る、米英蘭対日本の帝国主義間争闘戦であり、これに中国の民族闘争ー「民族解放戦争」が巻き込まれたものである。
・世界と日本の歴史学説は、この戦争を「民主主義対ファシズム」の戦争として規定してきたが、これは、米英、特にアメリカの「戦争犯罪」(ヒロシマ・ナガサキ、東京大空襲などの無差別爆撃)を免罪するための主張である。
・この戦争の正確な規定は、特に、急迫するアジア太平洋戦争ーアメリカ(米日)の対中戦争(南・東シナ海戦争ー「台湾有事」)の歴史的はじまり、という事態が進行する中で、とりわけ重要である。
・繰り返すが、アメリカの2018年「国家安全保障戦略(NSS)」による「新冷戦」宣言は、アフガンーイラク戦争後の、アメリカの世界的戦争態勢作りであり、対中戦争態勢づくりである(実際上は、ウクライナ戦争が先行しただけ!)
・この事態の中、現在の反戦のスローガンは、
*「ロシアのウクライナ侵攻反対」
*「米ロの帝国主義間戦争反対」
*「アメリカのNATO東方拡大戦略反対」
*「ウクライナの中立政策支持」
*「ウクライナーロシアの即時停戦を」
*「市民の犠牲をなくすためにキエフ等の無防備都市宣言を」 となろう。
そして、「台湾有事」キャンペーンによる、日米豪(欧)の対中戦争が切迫の中、今私たちが、特に求められているのは、ウクライナ戦争に反対するとともに、日米の対中戦争態勢づくり――琉球列島へのミサイル要塞化を阻むための、沖縄島――奄美・石垣島・宮古島と連帯した、全国的たたかいである!
●参考文献『ミサイル攻撃基地化する琉球列島―日米共同作戦下の南西シフト』
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