自衛隊の南西シフト態勢ー報道の検証ーマスメディアはどのように変質していったのか?
#自衛隊 #南西シフト #沖縄 #宮古島 #石垣島 #奄美大島
2010年12月2日(木)放送
“南西”へ向かう自衛隊 ~最前線からの報告~
シェアするhelptwitterfacebookgoogle
石山 健吉(NHK社会部・記者)
【スタジオ1】
●自衛隊が南西へ向かう背景
>>まず顕著なのが、中国海軍の活動の活発化です。こちらをご覧ください。こちらの地図で見ますと、この日本の南西諸島、これを中国は自国を守る防衛線と位置づけているといわれているんです。この南西諸島までの東シナ海、ここにある海洋資源、あるいはその自国の商船の航行の安全というものを重視しているとされているんです。近年、海軍力を急速に増強して活動を活発化させている理由の一つというのが、この地域での海洋権益を守るというためだと見られているんですね。そして中国海軍の活動というのは、数年前から、この南西諸島の周辺で、確認されるようになりまして、ことし4月には、これまでで最大規模の10隻という数の艦隊が、この沖縄本島と宮古島のこの間を通って、太平洋側に出ていくということで、活動海域も拡大させているんですね。こうした動きに対して、今回の新たな防衛大綱では、陸海空、すべての部隊で、防衛力の拡充というのが図られようとしているわけです。ただ、これには組織内部の事情も絡んでいるという見方もあるんです。陸上自衛隊では、冷戦崩壊以降、人員の削減というのを求められ続けています。こうした中で、この中国の軍事力の台頭というのは、陸上自衛隊が力を投入するための新たな目標となって、結果として、組織の強化へとつながっているという指摘もあるんです。
●地元の反応は
>>地元沖縄では、確かに尖閣諸島沖の衝突事件以降ですね、周辺の安全保障に不安の声を上げるという方もいらっしゃるんですけれども、その一方で、防衛態勢の強化というものには根強い反感というのもあるんですね。これはやはりさきの大戦で唯一の地上戦に多くの住民が巻き込まれて、犠牲になった歴史、そして戦後もアメリカ軍基地の存在というものから悩まされ続けてきた歴史。こういったものから基地、あるいは軍事力そのものに対するアレルギーといいますか、根強い拒否感というものがあるわけなんですね。そして特に部隊配置の候補にあがっている島ですけれども、今回の取材では、例えば自衛隊の拠点が出来ることでかえって狙われるのではないかといったことや、また平和な環境というのが脅かされることになるのではないかという不安の声もあったんですね。普天間基地の移設問題など、沖縄というのは、今も国の安全保障政策にほんろうされ続けているわけです。部隊配置が正式に決まるかどうかというのは、これからの議論になるわけですけれども、こうした中で政府はこうした地元の声というものをしっかり受け止めていく必要があると思います。
【スタジオ2】
●アメリカの南西諸島に対する見方
>>アメリカもまた、中国の軍事的な台頭というものには強い懸念を示しています。これ以上、中国の影響力が強まれば、この海洋、海域の自由が脅かされるのではないかと考えているわけなんです。そうした中で、自衛隊との間で南西諸島周辺の防衛に関する新たな共同作戦計画を作ろうというような議論も出始めてきているんです。中国の軍事的台頭というものが結果として、中国への懸念を共有する自衛隊とアメリカ軍の結びつきを強めるというふうになっているともいえます。
●隣国とどう向き合うか
>>今回、私が取材した安全保障の専門家の間では、隣国の軍拡に一定の備えをするということは、必要不可欠だという一方で、それが極端であれば、かえって緊張を誘発するという意見もあったんです。ただ、いずれの意見の人たちにも、ある一致していた点がありまして、これはその中国の軍事力というのが、日本にとって、本当に脅威になるのかどうかというのは、実は今後の取り組みにかかっているんではないかということだったんですね。これはどういうことかといいますと、ある国の軍事力というのが脅威になるかどうかというのは、軍事力そのものの存在だけではなくて、それをどう使うかという、その国の意志というものが、非常に重要な要素になるといわれているわけなんです。つまり、今回の場合でいえば、中国が強大な軍事力というものをどう使おうとしているのかということなんですけれども、その中国の考え方を探って、そしてその軍事力を、こちらに向けさせないようにする努力というものが重要だというのが、やはり大勢の方がおっしゃっていた意見だったわけですね。政府は、新たな防衛大綱の下で、一定の備えをしようとしているわけなんですけれども、それとともに、例えば防衛交流をより積極的に進めるなどして、お互いの意志の疎通を図っていって、そして政府全体で、緊張を高めないようにしていくという取り組みというのが、今後、ますます重要になってきていると感じました。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/2974/1.html
#自衛隊 #南西シフト #沖縄 #宮古島 #石垣島 #奄美大島
2010年12月2日(木)放送
“南西”へ向かう自衛隊 ~最前線からの報告~
シェアするhelptwitterfacebookgoogle
石山 健吉(NHK社会部・記者)
【スタジオ1】
●自衛隊が南西へ向かう背景
>>まず顕著なのが、中国海軍の活動の活発化です。こちらをご覧ください。こちらの地図で見ますと、この日本の南西諸島、これを中国は自国を守る防衛線と位置づけているといわれているんです。この南西諸島までの東シナ海、ここにある海洋資源、あるいはその自国の商船の航行の安全というものを重視しているとされているんです。近年、海軍力を急速に増強して活動を活発化させている理由の一つというのが、この地域での海洋権益を守るというためだと見られているんですね。そして中国海軍の活動というのは、数年前から、この南西諸島の周辺で、確認されるようになりまして、ことし4月には、これまでで最大規模の10隻という数の艦隊が、この沖縄本島と宮古島のこの間を通って、太平洋側に出ていくということで、活動海域も拡大させているんですね。こうした動きに対して、今回の新たな防衛大綱では、陸海空、すべての部隊で、防衛力の拡充というのが図られようとしているわけです。ただ、これには組織内部の事情も絡んでいるという見方もあるんです。陸上自衛隊では、冷戦崩壊以降、人員の削減というのを求められ続けています。こうした中で、この中国の軍事力の台頭というのは、陸上自衛隊が力を投入するための新たな目標となって、結果として、組織の強化へとつながっているという指摘もあるんです。
●地元の反応は
>>地元沖縄では、確かに尖閣諸島沖の衝突事件以降ですね、周辺の安全保障に不安の声を上げるという方もいらっしゃるんですけれども、その一方で、防衛態勢の強化というものには根強い反感というのもあるんですね。これはやはりさきの大戦で唯一の地上戦に多くの住民が巻き込まれて、犠牲になった歴史、そして戦後もアメリカ軍基地の存在というものから悩まされ続けてきた歴史。こういったものから基地、あるいは軍事力そのものに対するアレルギーといいますか、根強い拒否感というものがあるわけなんですね。そして特に部隊配置の候補にあがっている島ですけれども、今回の取材では、例えば自衛隊の拠点が出来ることでかえって狙われるのではないかといったことや、また平和な環境というのが脅かされることになるのではないかという不安の声もあったんですね。普天間基地の移設問題など、沖縄というのは、今も国の安全保障政策にほんろうされ続けているわけです。部隊配置が正式に決まるかどうかというのは、これからの議論になるわけですけれども、こうした中で政府はこうした地元の声というものをしっかり受け止めていく必要があると思います。
【スタジオ2】
●アメリカの南西諸島に対する見方
>>アメリカもまた、中国の軍事的な台頭というものには強い懸念を示しています。これ以上、中国の影響力が強まれば、この海洋、海域の自由が脅かされるのではないかと考えているわけなんです。そうした中で、自衛隊との間で南西諸島周辺の防衛に関する新たな共同作戦計画を作ろうというような議論も出始めてきているんです。中国の軍事的台頭というものが結果として、中国への懸念を共有する自衛隊とアメリカ軍の結びつきを強めるというふうになっているともいえます。
●隣国とどう向き合うか
>>今回、私が取材した安全保障の専門家の間では、隣国の軍拡に一定の備えをするということは、必要不可欠だという一方で、それが極端であれば、かえって緊張を誘発するという意見もあったんです。ただ、いずれの意見の人たちにも、ある一致していた点がありまして、これはその中国の軍事力というのが、日本にとって、本当に脅威になるのかどうかというのは、実は今後の取り組みにかかっているんではないかということだったんですね。これはどういうことかといいますと、ある国の軍事力というのが脅威になるかどうかというのは、軍事力そのものの存在だけではなくて、それをどう使うかという、その国の意志というものが、非常に重要な要素になるといわれているわけなんです。つまり、今回の場合でいえば、中国が強大な軍事力というものをどう使おうとしているのかということなんですけれども、その中国の考え方を探って、そしてその軍事力を、こちらに向けさせないようにする努力というものが重要だというのが、やはり大勢の方がおっしゃっていた意見だったわけですね。政府は、新たな防衛大綱の下で、一定の備えをしようとしているわけなんですけれども、それとともに、例えば防衛交流をより積極的に進めるなどして、お互いの意志の疎通を図っていって、そして政府全体で、緊張を高めないようにしていくという取り組みというのが、今後、ますます重要になってきていると感じました。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/2974/1.html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます