「子供のころの『性への目覚め』って、どんな感じやった?」
あるとき飲み屋で、そんなことを言い出したのは友人ヒメマツ君であった。
ひょんなことから、セクシャルな興奮を感じ、子供から大人に変化するというのは誰にでも起こることだが、そのきっかけとは様々である。
これには、中島らもさんのような、
「同じクラスの女子のふとももを、物差しでペチペチ叩きたくなった」
といった、ほほえましものとか、あとは昭和生まれなもんで、
「河原に落ちていたエロ本を拾って」
みたいな直球も多いと思われるが、たまに変なところを突いてくる、男の子というのもいるもの。
たとえば、席を同じくしていた友人テヅカ君は、深夜にやっていた、名もなきB級ホラー映画を観ていたとき。
若い女が、怪物に食べられるシーンに興奮したそうで、なるほどと。
また友人カミノキ君は、子供のころ小学校の靴箱にあった女子のクツを見て、エロい気持ちになったという。
この手の話は、意外とツイストが効いているものが多く、人の発想は多様であると感心させられる。
その他にも、SF作家の山本弘さんが、アニメの『鉄腕アトム』を取り上げて、
アトムが敵の攻撃で気絶して、ぐったりなっているところ、胸のフタを開けられて燃料タンクを取り出されるシーンが、性の目覚め。
という人がいた話をしていて、また、ミュージシャンの大槻ケンヂさんは、
「『ウルトラセブン』第27話「サイボーグ作戦」の中で、セブンがボーグ星人に押し倒されるところ」
ここで、グッと来たらしい。
まったく、人生は人の数だけあるというが、性の目覚めも人それぞれである。
ちなみに、言い出しっぺのヒメマツ君は、
「ファミコンで遊んでて、『ジョイスティック』って言葉が妙にイヤらしく感じて、それが最初やな」
エロの想像力というのは、かくも豊かであり、まさに発想の宝庫と言えるのだ。
(続く→こちら)