前回(→こちら)の続き。
『七人の侍』『生きる』がおもしろくなく、
「黒澤明は合わない」
と思いこんでいたが、地味な人間ドラマ『静かなる決闘』で、その想いが払拭された私。
やっぱり、黒澤はおもしろいんやなあ。そう心入れ替えた私は、そこから、「黒澤リベンジマッチ」を企画し、とりあえず未見のものを中心に、黒澤映画をガンガン見ることにした。
で、その開口一番が『用心棒』だったんだけど、これが大当たり。
もう開始10分で叫びましたもんね。
「うわああああ!!!! 三船敏郎カッコエエエエエエエ!!!!」
刀かついだ三船が出るだけで、もうシビれた。これだけで名画決定。とんでもない存在感。
続けて、仲代達矢が登場したところで、二度目の大歓声。
仲代達矢といえば、『不毛地帯』や『日本海大海戦』、あと『包丁人味平』のコック役とか(それはちょっと違う)で観て、昭和の俳優らしいその存在感は知っていたけど、この映画の仲代さんは、ちょっと次元の違うカッコよさだった。
だって、ゴリゴリの時代劇なのに、首に涼しげなスカーフまいてんの。
おまけに、手には刀ではなく拳銃。スミス&ウェッソンなんだよ。このミスマッチが、下手な役者や演出家がやると「ねらいすぎ」になってあざといんだろうけど、それを見事に着こなしてるの。
こんなもん見せられたら、もう目はハートよ。そのセンスがすばらしすぎる。仲代さん、抱いて!
でもって、舞台がもう、モロに西部劇。私は西部劇ファンではないけど、それを時代劇で換骨奪胎すると、こんなにもシブくなるのか!
最後の決闘で、三船と仲代一派が風に吹かれながら登場するところなど、マカロニ! もうマカロニ! 笑ってしまうくらいにセルジオ・レオーネ風!
……って、いうまでもなく、黒澤がマカロニ風なんじゃなくて、『荒野の用心棒』が『用心棒』を勝手に丸パクリしたことは、映画ファンならだれでもご存じだけど、こんなどストレートにいただいてるとは(笑)。
つまり、
ジョン・フォードとかハワード・ホークス的西部劇
↓
一回黒澤はさんでからの
↓
もっかい今度はイタリアで西部劇
という仕組みだ。芸術というのは、パクリパクられで発展する見本ともいえる玉突きだなあ。
まあ、『用心棒』みたら、パクりたくなる気持ちもわかりますが。それくらいにカッケーのよ。セルジオ無罪。オレだってマネしたいよ。
おまけに、懸案だったテンポも、直球娯楽作ということかサクサク進み、観ていて全然ダレない。めちゃくちゃにおもしろかった。
先頭打者ホームランで勢いのついた私は、その後も『椿三十郎』『天国と地獄』『隠し砦の三悪人』『赤ひげ』『わが青春に悔いなし』といった作品を次々と鑑賞したのだが、これがまたホームラン続きで感動。
特に『椿三十郎』は、『用心棒』の続編という位置づけだが、今度はコメディータッチであり、黒澤こっちでもすんごくお上手。
もう、あの母娘の天然ボケに苦い顔をする三船が激萌え! 奥さんを塀から外に出すところか、椿の色をあれこれ検討するのに「どっちでもええねん!」ってキレるところとか。
よく映画史の本で、
「この役は三船敏郎がやる予定だった」
「監督は三船に出演を熱望してたが果たせず」
なんて書いてあることがあって(『スターウォーズ』とか『ベスト・キッド』とか)、
「外人さんは、三船が好きやなあ」
なんてボンヤリ思ったもんだけど、黒澤映画観まくってわかりましたよ。そら、あんなイカした役者なら、使いたくもなりますわ。
そんなわけで、今ではすっかり「やっぱ黒澤は天才や!」と、転びバテレンのごとく語りまくっている私だが、ひとつおもしろいのは、今回見直しても、やっぱり『七人の侍』と『生きる』は退屈だったこと。
他のはすっかり堪能したのに、どうしてもこの2作だけはダメだった。念のために、春日太一さんの話とかも聞いてみたけど、やっぱりおもしろさが響かない。
よりにもよって「合わない」のが、代表作2本とは運が悪かった。こういうこともあるんやなあ。
でも間に合ってよかった。次は『野良犬』観ようっと。
『七人の侍』『生きる』がおもしろくなく、
「黒澤明は合わない」
と思いこんでいたが、地味な人間ドラマ『静かなる決闘』で、その想いが払拭された私。
やっぱり、黒澤はおもしろいんやなあ。そう心入れ替えた私は、そこから、「黒澤リベンジマッチ」を企画し、とりあえず未見のものを中心に、黒澤映画をガンガン見ることにした。
で、その開口一番が『用心棒』だったんだけど、これが大当たり。
もう開始10分で叫びましたもんね。
「うわああああ!!!! 三船敏郎カッコエエエエエエエ!!!!」
刀かついだ三船が出るだけで、もうシビれた。これだけで名画決定。とんでもない存在感。
続けて、仲代達矢が登場したところで、二度目の大歓声。
仲代達矢といえば、『不毛地帯』や『日本海大海戦』、あと『包丁人味平』のコック役とか(それはちょっと違う)で観て、昭和の俳優らしいその存在感は知っていたけど、この映画の仲代さんは、ちょっと次元の違うカッコよさだった。
だって、ゴリゴリの時代劇なのに、首に涼しげなスカーフまいてんの。
おまけに、手には刀ではなく拳銃。スミス&ウェッソンなんだよ。このミスマッチが、下手な役者や演出家がやると「ねらいすぎ」になってあざといんだろうけど、それを見事に着こなしてるの。
こんなもん見せられたら、もう目はハートよ。そのセンスがすばらしすぎる。仲代さん、抱いて!
でもって、舞台がもう、モロに西部劇。私は西部劇ファンではないけど、それを時代劇で換骨奪胎すると、こんなにもシブくなるのか!
最後の決闘で、三船と仲代一派が風に吹かれながら登場するところなど、マカロニ! もうマカロニ! 笑ってしまうくらいにセルジオ・レオーネ風!
……って、いうまでもなく、黒澤がマカロニ風なんじゃなくて、『荒野の用心棒』が『用心棒』を勝手に丸パクリしたことは、映画ファンならだれでもご存じだけど、こんなどストレートにいただいてるとは(笑)。
つまり、
ジョン・フォードとかハワード・ホークス的西部劇
↓
一回黒澤はさんでからの
↓
もっかい今度はイタリアで西部劇
という仕組みだ。芸術というのは、パクリパクられで発展する見本ともいえる玉突きだなあ。
まあ、『用心棒』みたら、パクりたくなる気持ちもわかりますが。それくらいにカッケーのよ。セルジオ無罪。オレだってマネしたいよ。
おまけに、懸案だったテンポも、直球娯楽作ということかサクサク進み、観ていて全然ダレない。めちゃくちゃにおもしろかった。
先頭打者ホームランで勢いのついた私は、その後も『椿三十郎』『天国と地獄』『隠し砦の三悪人』『赤ひげ』『わが青春に悔いなし』といった作品を次々と鑑賞したのだが、これがまたホームラン続きで感動。
特に『椿三十郎』は、『用心棒』の続編という位置づけだが、今度はコメディータッチであり、黒澤こっちでもすんごくお上手。
もう、あの母娘の天然ボケに苦い顔をする三船が激萌え! 奥さんを塀から外に出すところか、椿の色をあれこれ検討するのに「どっちでもええねん!」ってキレるところとか。
よく映画史の本で、
「この役は三船敏郎がやる予定だった」
「監督は三船に出演を熱望してたが果たせず」
なんて書いてあることがあって(『スターウォーズ』とか『ベスト・キッド』とか)、
「外人さんは、三船が好きやなあ」
なんてボンヤリ思ったもんだけど、黒澤映画観まくってわかりましたよ。そら、あんなイカした役者なら、使いたくもなりますわ。
そんなわけで、今ではすっかり「やっぱ黒澤は天才や!」と、転びバテレンのごとく語りまくっている私だが、ひとつおもしろいのは、今回見直しても、やっぱり『七人の侍』と『生きる』は退屈だったこと。
他のはすっかり堪能したのに、どうしてもこの2作だけはダメだった。念のために、春日太一さんの話とかも聞いてみたけど、やっぱりおもしろさが響かない。
よりにもよって「合わない」のが、代表作2本とは運が悪かった。こういうこともあるんやなあ。
でも間に合ってよかった。次は『野良犬』観ようっと。