ピアニスト
2010-04-09 | 詩
フィリップモーリスに灯を点ける
夕ご飯の代わりにワインを空けた
何も乗っていない皿の上
在りもしない肉を切る仕草
林檎でもかじれよ
友人が青い林檎を放った
訳知り顔の皮肉な冷笑と共に
林檎の匂いを嗅ぎ
皮ごと齧ってみた
ピアノの蓋がそうっと空けられる
誰かが鍵盤に指を置く
何処かで聴いた筈の音楽
記憶の階層を不確かに辿る
マイケル・ナイマンの曲だ
「ピアノレッスン」
僕はワインをグラスに注ぎ
あてどない孤独を肴に
ただ流れる音を聴いていた
ワインと煙草と音楽
それだけあれば無人島に行きたい
だがしかし
この部屋の情景もかなり孤独ではあるが
不安に喘ぐと呼吸するようにワインを流し込んだ
ピアニストという人種はまるで魔法使いだ
指が二十本あるみたいだ
それらが正確に鍵盤を選び取る
飯とピアノだったら間違いなくピアノを取る
酒とピアノだったら少し悩む
難しい難題を突きつけられたみたいに
老ピアニストが微笑んだ
ステージでクラリネットを吹いていた陽気なアメリカ人は
普段 基地の中の小学校の校長先生だった
ペンキ屋の親父のドラミングもかなりの腕前だ
ジャズバーの夜は
煙草の煙に満たされた
老ピアニストのソロが終わると
歓声と拍手が舞った
アメリカでもヨーロッパでもアジアでも
彼は呟く
音楽は共通語だったね
すまんが煙草一本頂戴
僕は煙草を差し出し灯を点けた
だからね
止められないね、ピアノ。
グラスに酒を注ぎ
彼は美味そうに飲んだ
そんな夜も悪くない
月夜だ
ps、
ジャズピアニストの
屋良文雄先生が
8日お亡くなりになりました。
沖縄は大切な宝物を失った気がします。
御冥福を御祈り申し上げます。
夕ご飯の代わりにワインを空けた
何も乗っていない皿の上
在りもしない肉を切る仕草
林檎でもかじれよ
友人が青い林檎を放った
訳知り顔の皮肉な冷笑と共に
林檎の匂いを嗅ぎ
皮ごと齧ってみた
ピアノの蓋がそうっと空けられる
誰かが鍵盤に指を置く
何処かで聴いた筈の音楽
記憶の階層を不確かに辿る
マイケル・ナイマンの曲だ
「ピアノレッスン」
僕はワインをグラスに注ぎ
あてどない孤独を肴に
ただ流れる音を聴いていた
ワインと煙草と音楽
それだけあれば無人島に行きたい
だがしかし
この部屋の情景もかなり孤独ではあるが
不安に喘ぐと呼吸するようにワインを流し込んだ
ピアニストという人種はまるで魔法使いだ
指が二十本あるみたいだ
それらが正確に鍵盤を選び取る
飯とピアノだったら間違いなくピアノを取る
酒とピアノだったら少し悩む
難しい難題を突きつけられたみたいに
老ピアニストが微笑んだ
ステージでクラリネットを吹いていた陽気なアメリカ人は
普段 基地の中の小学校の校長先生だった
ペンキ屋の親父のドラミングもかなりの腕前だ
ジャズバーの夜は
煙草の煙に満たされた
老ピアニストのソロが終わると
歓声と拍手が舞った
アメリカでもヨーロッパでもアジアでも
彼は呟く
音楽は共通語だったね
すまんが煙草一本頂戴
僕は煙草を差し出し灯を点けた
だからね
止められないね、ピアノ。
グラスに酒を注ぎ
彼は美味そうに飲んだ
そんな夜も悪くない
月夜だ
ps、
ジャズピアニストの
屋良文雄先生が
8日お亡くなりになりました。
沖縄は大切な宝物を失った気がします。
御冥福を御祈り申し上げます。