詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説「途中下車」NO.80

2011年11月07日 | 恋愛小説「途中下車」
恋愛小説「途中下車」は、作者が初めて掲載する、大人の恋愛を描いた小説であり、
文中に一部今までの小説とは違った、男女の恋愛描写が描かれている部分がございますので、ご了承の上お読みください。
また、この物語に関しては、長編小説初挑戦で現在作成途中のため、不定期に掲載される場合があります。
当小説は、作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。

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第四部 第一章「途中下車」NO.80

空は今にも泣き出しそうな曇天だった。
プシューという無機質な音をたてて電車のドアが背中の後ろで閉まった時、俺
松岡裕樹は初めてその駅が無人なことに気がついた。

どれくらい歩いていたのだろう、気がつくと、荒ぶる波しぶきが見える崖の上まで
来ていた。はずしたネクタイを握り締めている。
人は、きっと失って初めて一番大切なものに気づくのかも知れない。
ゆうべの高井と百合菜の婚約発表の話を聞いた瞬間、心が砕けそうだった。
わかっていた。
俺は、百合菜を心から愛していると思いながらも、あの夜見てしまったあの忌まわしい光景を記憶の片隅に追いやることなどできず、百合菜を許すことができなかった。

自業自得だ。
もっと自分が注意をしていれば、百合菜をみすみす高井に渡すことなどなかったのに。
高井は昔から出世を何よりも望んでいた男だ。
きっとどこかで百合菜が、冴場社長の孫娘だと聞いたのだろう。
あいつの考えそうなことだ。
あいつの出世のために、百合菜が犠牲になるのだけは、どうしても食い止めたかった。
あのときの百合菜の青ざめた顔・・・・
きっと百合菜は、知らなかったはずだ。
あんな風に婚約発表・・いや、もしかするとまだ、結婚するなんて意志すら高井に示していないかも知れない。いや、絶対にそうだ。

どうすればいい・・・俺は、もう一度、百合菜をこの手に取り戻そう・・・・
寄せては、岩にぶつかり砕け散る波を見ているうちにヒタヒタと熱い感情が、体中を駆け巡り始めた。
俺は、知らず知らずのうちに、あきらめて汽車を降りていた。そう途中下車をしてしまった。でも、大丈夫だ。まだ、何も終わっていない。この波のように何度も何度もだめでもぶつかってみよう・・・・
そう両手のこぶしを握り締めた瞬間
胸のポケットで携帯電話が振動し始めた。
「・・・!?」

**第四部第二章「写真」NO.81へつづく**↓
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恋愛ポエム~秋の気配~

2011年11月07日 | 恋愛ポエム
「秋の気配」
~オリジナルポエム~

何を描いたらいいのだろう
僕の地図に

何を描きたいのだろう
僕のキャンバスに

君に出会って
僕の季節は
君色に染められた

華やかに微笑む君と
ふっとみせるさみしげな横顔

そんな君がいとおしいよ


何を目指せばいいんだろう
僕の地図で

何を欲しがっているのだろう
僕の心は

君のまなざしがやさしく
僕と絡むとき

自然な笑みが
茜色に染まる

そんな君が恋しいよ

秋は夏と冬の間に
置き忘れられた季節だから

涙がこぼれて乾かないよ



何を記せばいいのだろう
君の地図に

何を守ればいいのだろう
君の人生で


君を愛する気持ちを抱きしめたまま
秋の夜長を過ごしているよ


愛してる
愛してる


今すぐ逢って
君をこの手で抱きしめたい





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