詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説「途中下車~ちょっと大人の恋物語」NO.26

2011年07月06日 | 恋愛小説「途中下車」
恋愛小説「途中下車」は、作者が初めて掲載する、大人の恋愛を描いた小説であり、
文中に一部今までの小説とは違った、男女の恋愛描写が描かれている部分がございますので、ご了承の上お読みください。
また、この物語に関しては、長編小説初挑戦で現在作成途中のため、不定期に掲載される場合があります。
当小説は、作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。

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第十七章 百合菜の姉~NO.26~

「お姉ちゃん?献杯って・・・・」
「私のお姉ちゃん。2年前の今日、なくなったの。」
「・・・・・。」
「姉と、本当は、神崎のお墓参り一緒にしようねって約束していたんだ。
私が、大学卒業したら、二人で東京に来て、神崎のお墓参りしようねって。」

二度目の言葉で百合菜は、下を向き、大粒の涙がこぼれた。

「やだな・・・もう泣かないって決めたのに・・・・。なんでだろう・・・」
「松井さん・・・・」

俺は、いつも2枚持っている、予備のほうのハンカチを百合菜に差し出した。

「俺の前でよければ、遠慮せずに泣いていいよ。慰めの言葉とか上手く見つからないかも知れないけど。」
「うん。ありがとう・・・・」

そういうと百合菜は、2杯目のビールを少し口に含み、遠い目をした。

「姉は、自殺したの。」
「!!」

俺は、百合菜の話の展開にびっくりして思わず息を飲み込んだ。

「姉には大学時代からお付き合いをしている人がいたの。同じ大学だった、2歳年上の人。姉も私も女子校だったから、はじめてお付き合いをした人だったのね。その人が・・・・」

俺は、どんなリアクションをしていいかわからず、ただビールに口をつけていた。

「姉は、もちろん大学を卒業したら、その人と結婚するつもりだったし、その人も姉が大学を卒業をするのを待って、結婚しようって言っていたみたいなの。その当時は。」
「うん。」
「大学を卒業する1ヶ月前、姉の妊娠がわかったの。3ヶ月だった。姉は、卒業するまでは親に黙っていてその後、その人を親に紹介するつもりだったんだよね。
私は、姉の様子がおかしいから、訊いたら素直に認めて。私は、大学2年生だったけど、
妊娠とかよくわからなかったけど、きっとつわりがひどかったんだろうね。いつも青い顔をしていたから。」

百合菜の瞳は、一層悲哀の色に染まった。

~NO.27へつづく~




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