柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

介護施設でエンディングノートの聴き取り

2022年05月17日 | エンディングノート
以前「エンディングノートの書き方」の研修を受けた方が介護施設から思いがけない依頼を受けたそうです。
「入居されている方のエンディングノートを作成してほしい」と。

目的は入所されている方のエンデイングの希望を記録しご家族と共有する
又、介護にその意向を反映することだそうです。
とても素敵な試みですね。
確かに介護スタッフは忙しそうです。それに費やす時間がないので外部に依頼をしてきたのでしょう。

初めての方は90歳の男性だったそうです。
男性の経歴や思い出話は問題なく聴き取りが済み、葬儀の話をする段になって迷いがあったそうです。
「ご気分を害さないだろうか」と心配をしながら話し始めたら、その男性は、むしろいきいきと葬儀の話をしてくれたというのです。

研修を受けたときに高齢者は死に関する話は嫌がらない。
もしクレームがついたとしても、クレームを訴える人はごく少数派。その他の大多数の人はクレームが言えないのではなく、クレームに感じていないのだ。と教えらえたがその通りだった。
と報告をしてくれました。

そうなのです。
私達は自分の想像だけで相手の気持ちを決めつけていることが多々あります。
介護施設ではできるだけ長生きしてほしいと介護に努めてくれますが
最近ではいい看取りもするところが増えています。
死は挫折でも敗北でもなくごく当たり前のことなのです。
いい看取りができたなら、いい見送りがその場でできると更によい介護施設になると思ませんか。

介護施設で最期の生活を過ごした方が亡くなった途端、まるでいなかった人のように対応されたら
それまでの労りや介護は何だったのか?疑問を感じます。
「他の入所者が葬儀を見るのは嫌がるのでは」という施設側の想像は当たらないと思います。
「あの方は亡くなったのね」「ここなら私も皆に送ってもらえるのね」と感じる入所者は多いはずです。
家族にとっても自宅から離れて何年もたった今、一番故人を知る人たちに囲まれた葬儀を望むのではないでしょうか。
介護施設は入所者にとって地域社会でありそこにいる人たちはご近所の人たちなのです。
そこから旅立つのはむしろ当り前に思いませんか。

エンディングノートの聴き取りを実施した介護施設は入所者を大事に見ていると思いました。
これから同じような介護施設が増えてくるといいですね

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