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【海の怪奇現象!④】未解決、海難事故5選【ミステリー】第4回(5回シリーズ)

2017-07-16 01:19:48 | 歴史
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(担当S)


※本記事は2016/12/04に投稿した記事に、修正を加えて再投稿したものです。

 
 
 昔から幽霊船の伝説は洋の東西を問わず存在しますが、その多くは原因不明の事故により無人で漂流していた船などが、伝説の元になっていると言われています。
 科学技術が進歩した近代以降、そういう事故は全く無くなったと思われがちですが、19世紀後半から現代にかけて、原因がよく分からない謎の海難事故と言うものは、数多く発生しています。
 そこで今回は、代表的な謎の海難事故5選を、担当Sの独断と偏見で選んで紹介していきます。
 
 
 
■世界は謎に満ちている!謎の海難事故5選 第4回(※但しネタバレあり)
 
 
●ソ連潜水艦コムソモレツ号、謎の沈没事故
 まだ世界が東西陣営に分かれて対立していた、冷戦真っ只中に起こった、ミステリアスな潜水艦の沈没事故が、ソ連原子力潜水艦のコムソモレツ号の沈没事故です。
 当時、この事故が注目されたのは、沈没した原潜コムソモレツが、アメリカ海軍の原潜よりもかなり優れた能力(※但し、その多くは冷戦後の調査によって否定される)持つ原潜だと見られていたからでした。
 1985年に同潜水艦は最大深度1027mの潜航を成功させますが、この記録は今でも破られていません。
 この優れた潜航能力をもたらしていた秘訣は、船体の多くがチタン合金で作られていたからです。
 非常に優れた技術的特徴が見られた為にアメリカ海軍は、コムソモレツ号には液体金属を冷却材に用いた高性能の原子炉が使われていると推測していました(※後に通常の原子炉が使われている事が判明)。
 液体金属とは鉛やビスマスのような、融点の低い金属が溶けて液状になったもののことですが、この液体金属を原子炉に使うと冷却能力が大幅に向上するため、原子炉の性能を飛躍的に上げる事ができます(※ソ連には「アルファ級」と言う名前の、原子炉の冷却材に液体金属を使った攻撃型潜水艦が、実際に存在しました)。
 当時のソ連は徹底した秘密主義の国で、例えばソ連の国民の間ではどんなファッションが流行っていて、どんなテレビ番組が人気があるのか?その程度の情報も国外には漏れないように機密扱いにしていたので、アメリカを始めとした西側陣営の国々にとって、ソ連はとても謎の多い国でした。
 そのせいか当時のアメリカは、「もしかしたらソ連は、自分達の国にはない超科学力を持っているかもしれない」と言う、強い恐れを持っていました。
 宇宙開発競争の初期に、アメリカはソ連の圧倒的なリードを許してしまった苦い経験があることから、ソ連が崩壊して今のロシアになるまで、アメリカの恐怖心は決して消えることはありませんでした。
 そんな時代でしたから、1989年の4月7日にコムソモレツ号がノルウェー沖で沈没事故を起こしたと言うニュースが入ると、その筋の専門家の間で様々な憶測が飛び交いました。
 コムソモレツ号が西側諸国が知らない新技術を駆使して造られた実験艦だった事も、憶測に拍車をかけました。
 当時は既に冷戦末期で、グラスノスチと言う名の情報開示政策をソ連自らが行っていたので、コムソモレツ号の沈没原因は電気回線のショートであると、そんなに時間を置かずに発表されましたが、この発表を素直に信じる西側の専門家は誰一人いませんでした。
 「何か特殊な実験任務についていて、その実験が失敗した事からコムソモレツ号は沈んだのでは?」と言う憶測は、事故の直後から、ずっと囁かれ続けました。
 一度、そう言う憶測が生まれると「じゃぁ、その特殊な実験任務とは何だったのか?」と、新たな憶測が芋づる式に生まれる事になります。
 「新しい推進システムの実験をしていたに違いない」とか「新兵器の実験中に事故を起こして沈んだのだろう」とか、いろんな説が囁かれました。
 軍艦であったコムソモレツ号には様々な軍事機密があり、今でも全ての情報がロシアから開示されているわけではありません。
 しかもソ連崩壊のドタバタで、貴重な情報が色々と失われてしまったので、現在では更に謎は深まっています。
 秘密のベールで覆われたコムソモレツ号の艦内の中で、一体何が行われていたのか?
 ソ連邦崩壊によって失われた、謎の科学技術の実験を行っていたのでしょうか。
 事故による生存者が誰一人いない以上、今後も真相がハッキリする事はないでしょう。

 …ネタバラシすると、実はソ連の原子力潜水艦は度々、沈没事故を起こしています。
 それはアメリカの原子力潜水艦と比べて原子炉の安全性が低かった事と、搭載していたミサイルに海水と混ざると爆発を起こす危険な液体燃料を使っていたからでした。 
 ハッキリ分かってる沈没事故だけでも4件、原子炉の事故に至っては11件も発生しています。
 アメリカ海軍で、致命的な原子力潜水艦の事故が2件(※いずれも、原潜が開発された初期の頃の事故)しか起きていないのと比べると、これは異常な数値だと言えます。
 ソ連の原子力潜水艦がアメリカの原子力潜水艦と同等の安全性を得るには、冷戦末期に現れたタイフーン級(※旧ソ連が作った世界最大の潜水艦)の登場まで待たなければなりませんでした。
 冷戦期にはミステリアスな沈没事故だと騒がれたコムソモレツ号の沈没事故ですが、冷戦後にソ連の原子力潜水艦の安全性の低さが明るみに出ると、コムソモレツ号もその例に洩れず、単に安全性が低かったから沈んだのでは?と言う観測が広がります。
 実際、コムソモレツ号の沈没原因は、電気回路のショートによる原子炉のオーバーヒートだと公表されていますから、安全性に何らかの問題を抱えていたのは明らかだと思われます。
 当初は生存者がゼロだと言われていたコムソモレツ号の沈没事故ですが、実は22名の生存者がいます。
 その為、コムソモレツ号の事故原因は、現在では、ほぼハッキリしています。
 冷戦期に囁かれた極秘実験説ですが、これは何処の国の海軍でも同様な機密実験を行っていますから、コムソモレツ号にだけ限った話ではありません。
 そもそも自国の軍事機密を軽々しく公表する馬鹿な国は、世界中どこを探してもありません。コムソモレツ号で何らかの極秘実験が行われていたとしても、それは軍事機密として公表されなくて当然です。
 旧ソ連の過剰とも言える秘密主義な体質が、事故を謎めいたものにしてしまいましたが、事故原因については既にケリがついていると考えるのが妥当でしょう。
 
 
 
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