コーイチはよろよろと立ち上がった。・・・いつまでもここにいても何も解決しないか。とにかく城へ行ってみよう。城へ行って・・・あとはそれから考えよう。
「あら、どこへ行くの?」花は立ち上がったコーイチを見上げた。「もう聞く事はないの?」
「うーん・・・」コーイチは腕組みをした。ちょっとひらめいた事があった。「あのさ、その四人って、僕でも何とかできるかなあ?」
「何とかって・・・?」
「その、あれさ。どうしても連れて帰らなければいけない人が二人いて、どうしても持って帰らなければならない品物が二つあるんだよ」
「それで・・・?」
「だからさ、僕でも、それらが取り戻せるのかって事なんだけど・・・」
「あなたの話だと、四人とも極悪人の終身刑なんでしょ?」花はいじわるそうに言い、コーイチを値踏みする様にじろじろと見た。「あなたって、小柄だし、腕力は無さそうだし、それに、機転が利きそうに見えないし・・・」
「そ、そんな事!」コーイチは怒ったが、反論は出来なかった。「・・・たしかに、それは言えているよなあ」
コーイチの計画では、洋子と共に行動し、まずは逸子を救出する。そして、次に「真風会館空手」免許皆伝の逸子と「龍玉虎牙神王拳」継承者の洋子とがピンク老人を倒し(コーイチは岩陰に隠れて応援している)、無事に消しゴムと鉛筆を取り戻し、手帳にでもその鉛筆で名前を書いて、元の世界へ戻る。めでたし、めでたしだったのだ。それが、最初からつまづいている。はっきり行って、お手上げ状態だ。
「それで、どうするつもりなの?」花は皮肉っぽく言う。「あなた一人じゃ、太刀打ちなんて、とてもじゃないけど出来ないわよね」
「でもさ、手助けなんかしてくれる人を待っていても、いつ現れるのか分かったもんじゃないしなあ・・・」
「分かったもんじゃないわねぇ・・・」
「どうしたものかなぁ・・・」
「どうしたものかしらねぇ・・・」
「いやいやいやいや、まいったなあ・・・」
「いやいやいやいや、まいったわねぇ・・・」
「あのさ」コーイチはからかわれている事に気がついた。「ここにいるより、城に行った方が、僕には精神衛生上良いと思うんだ」
コーイチは花に背を向けた。・・・とにかく城へ行こう。万が一囚われて永遠に戻れないとしても、ここで花にからかわれているよりは、はるかにマシだ・・・と思う。
「あ、ちょっと、待って!」花が呼びかけた。声が真剣だった。それが気になってコーイチは振り返った。「あなた、不思議に思わないの?」
「何がだい?」
「このエリアをベリーヌが作ったのなら、私もその時生まれたのよ」
「そう言われれば、そうだね」
「それなのに、私って、妙に色々と物知りだと思わない?」
「・・・」言われてみればそうだ。「・・・たしかに・・・」
「でしょ?」花は右の葉で地面を指し示した。「実は私、この世界の根本エネルギーの代弁者として現れたの」
「どう言う意味だい?」
「言ってみれば、この世界の本当の主人の使いって事かしらね」花は両方の葉を振り回しながら続けた。「どう言うはずみで出来るようになったのかは知らないけれど、あの四人は、この世界のエネルギーを好き勝手に使っていて、とっても腹が立っているの。何とかしてやりたいわ!」
「そう・・・」花の剣幕に押されたコーイチだった。「それはそれは・・・」
「そうよ! だから、私が協力してあげるわ!」
「・・・でもさ、君は花だよ。嬉しい提案だけどさ」
「ふふふ、お馬鹿さんね。見た目で判断するなんて・・・」
花はイタズラっぽく笑いながら言った。
つづく
いつも熱い拍手、感謝しておりまするぅ
(記録更新の達成ですね。本人には通過点でしかないでしょうが、素晴らしい事ですね!)
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「あら、どこへ行くの?」花は立ち上がったコーイチを見上げた。「もう聞く事はないの?」
「うーん・・・」コーイチは腕組みをした。ちょっとひらめいた事があった。「あのさ、その四人って、僕でも何とかできるかなあ?」
「何とかって・・・?」
「その、あれさ。どうしても連れて帰らなければいけない人が二人いて、どうしても持って帰らなければならない品物が二つあるんだよ」
「それで・・・?」
「だからさ、僕でも、それらが取り戻せるのかって事なんだけど・・・」
「あなたの話だと、四人とも極悪人の終身刑なんでしょ?」花はいじわるそうに言い、コーイチを値踏みする様にじろじろと見た。「あなたって、小柄だし、腕力は無さそうだし、それに、機転が利きそうに見えないし・・・」
「そ、そんな事!」コーイチは怒ったが、反論は出来なかった。「・・・たしかに、それは言えているよなあ」
コーイチの計画では、洋子と共に行動し、まずは逸子を救出する。そして、次に「真風会館空手」免許皆伝の逸子と「龍玉虎牙神王拳」継承者の洋子とがピンク老人を倒し(コーイチは岩陰に隠れて応援している)、無事に消しゴムと鉛筆を取り戻し、手帳にでもその鉛筆で名前を書いて、元の世界へ戻る。めでたし、めでたしだったのだ。それが、最初からつまづいている。はっきり行って、お手上げ状態だ。
「それで、どうするつもりなの?」花は皮肉っぽく言う。「あなた一人じゃ、太刀打ちなんて、とてもじゃないけど出来ないわよね」
「でもさ、手助けなんかしてくれる人を待っていても、いつ現れるのか分かったもんじゃないしなあ・・・」
「分かったもんじゃないわねぇ・・・」
「どうしたものかなぁ・・・」
「どうしたものかしらねぇ・・・」
「いやいやいやいや、まいったなあ・・・」
「いやいやいやいや、まいったわねぇ・・・」
「あのさ」コーイチはからかわれている事に気がついた。「ここにいるより、城に行った方が、僕には精神衛生上良いと思うんだ」
コーイチは花に背を向けた。・・・とにかく城へ行こう。万が一囚われて永遠に戻れないとしても、ここで花にからかわれているよりは、はるかにマシだ・・・と思う。
「あ、ちょっと、待って!」花が呼びかけた。声が真剣だった。それが気になってコーイチは振り返った。「あなた、不思議に思わないの?」
「何がだい?」
「このエリアをベリーヌが作ったのなら、私もその時生まれたのよ」
「そう言われれば、そうだね」
「それなのに、私って、妙に色々と物知りだと思わない?」
「・・・」言われてみればそうだ。「・・・たしかに・・・」
「でしょ?」花は右の葉で地面を指し示した。「実は私、この世界の根本エネルギーの代弁者として現れたの」
「どう言う意味だい?」
「言ってみれば、この世界の本当の主人の使いって事かしらね」花は両方の葉を振り回しながら続けた。「どう言うはずみで出来るようになったのかは知らないけれど、あの四人は、この世界のエネルギーを好き勝手に使っていて、とっても腹が立っているの。何とかしてやりたいわ!」
「そう・・・」花の剣幕に押されたコーイチだった。「それはそれは・・・」
「そうよ! だから、私が協力してあげるわ!」
「・・・でもさ、君は花だよ。嬉しい提案だけどさ」
「ふふふ、お馬鹿さんね。見た目で判断するなんて・・・」
花はイタズラっぽく笑いながら言った。
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