ミディアンが敗走して行く間に、イスラエルの人々がナフタリとアシェルおよび全マナセから呼び集められ、それらの者たちもミディアンを追撃して行った。
さらにギデオンはエフライムの山地全域に使者を送ってこう言った。
「下って行ってミディアンを迎え撃ち、彼らより先にベト・バラまで、そしてヨルダンをも攻略せよ」
それでエフライムのすべての人々が呼び集められ、その者たちは、言われた通りに攻略した。敵がヨルダン川の西岸を制圧し、渡って逃げないようにした。
彼らはまた、ミディアンの二人の君、すなわちオレブとゼエブを捕えた。そして、オレブを岩の上で殺し(のちにその岩はオレブの岩と呼ばれた)、またゼエブを酒ぶねのところで殺した(のちにその酒おけはゼエブの酒ぶねと言われた)。
彼らはミディアンをなおも追跡して行き、またオレブとゼエブの首をヨルダン地方にいたギデオンのところへ携えて来た。
「大儀であった」
ギデオンはエフライムの者たちを慰労した。
「ふざけるな! それが神と共に戦う者の振る舞いか! 片腹痛いわ!」
エフライムを率いてきた長が怒鳴った。持って来た首級(討ち取った首の事)を地に投げつけた。
どう言う事だ? 神と共に戦うこのオレを馬鹿にしやがった! それと、エフライムは何を怒っているんだ? 神との戦いに加われたし、敵の首まで揚げたと言うのに? ギデオンは訝しむ。
「お前がしたことだ! ミディアンと戦おうとして出かける時に、わしたちを呼ばなかった! これは一体どう言う事だ!」
怒りで全身を震わせている長とその兵たちは、今にも襲いかかってきそうな勢いだった。
そうか、戦さに最初から関われなかったことが不満なのか。しかし、神は最初はエフライムを選んでいなかった。つまり、オレのせいじゃないんだがな。でも、そんな事言おうものなら、ここでまた戦さになるのは確実だ。仕方ない、ここは下手に出るか…… ギデオンは笑顔を作る。
「あなた方と比べてわたしがいま何をしたというのでしょうか。エフライムが集めた収穫の残りは、わたしたちアビ・エゼルのぶどうの取り入れに勝っているではありませんか。神はあなた方の手にミディアンの君オレブとゼエブをお与えになりましたが、そのあなた方に比べてわたしがいったい何をなし得たのでしょうか」
ま、実際に大いに助かったわけだから、これくらいの褒め言葉は良いよな。……神と共に戦うオレには屈辱だがな…… ギデオンは思った。
「……そこまで言ってくれるのなら、もはや何も言うまい。こちらも感情的になり過ぎたようだ」
エフライムの怒りが解けた。
ギデオンはヨルダン川を渡り東の地に入った。共にいる三百の兵も疲弊していたが追跡を続けた。ミディアンの王ゼバハとツァルムナを捕えていないからだった。
ギデオンたちは東岸の都市スコトに来た。ギデオンはスコトの人々に懇願した。
「わたしの跡に従っている民に、どうか丸パンを与えてください。彼らは疲れていますが、わたしはミディアンの王ゼバハとツァルムナを追撃しているのです」
スコトの長たちは答えた。
「ゼバハとツァルムナが既に手中にあるとでも言うので、お前の軍隊にパンを与えなければならないのか」
侮辱! 神と共に戦う者たちへの何と言う侮辱だ! 神は勝利を約束されていると言うのに! ギデオンは憤る。
「……神がゼバハとツァルムナをオレの手に与えて下さった時、オレは必ず荒野のいばらとおどろをもって貴様ら身を打ち叩いてやろう! この愚か者どもめが!」
ついで東にある近隣の都市ぺヌエルでも同じように懇願した。しかし、答えは同じだった。
東岸のヤツらには、まさに対岸の火事なのか! イスラエル全体の問題だと言うのに! 神はお怒りになるぞ! ギデオンはさらに憤る。
ギデオンは、西のヨルダン川へと下るヤボク峡谷の入口を掌握するため、戦略的に重要な位置に置かれ、強固に守り固められている都市ペヌエルの見張りの塔を見上げた。ギデオンはその塔を指さして行った。
「無事に戻って来たら、オレはこの塔を打ち崩してやる!」
さて、ミディアンの王ゼバハとツァルムナはカルコルにおり、その陣営も共にあった。その数およそ一万五千人で、東の者たちの全陣営から残ったすべての者であった。
既に倒れた兵士は十二万人であり、剣を携えた者たちであった。
そしてギデオンは天幕に住む者たちの道(隊商が行き交う道)をなおも上ってノバハとヨグベハの東方に進んだ。
まさかここまで追ってはこないだろうと油断し、また逃走で疲弊していた敵陣営に、ギデオンたちは討ちかかった。剣を携えた兵がそれほどいない敵陣は見る間に倒されて行った。もちろん神が共に戦っておられたことが勝因だった。
ゼバハとツァルムナは逃走するが、ギデオンは直ちにこれを追跡し、このミディアンの二人の王を捕えた。こうしてギデオンはその敵の全陣営を撃ち敗った。
(士師記 7章23節から8章12節までをご参照ください)
さらにギデオンはエフライムの山地全域に使者を送ってこう言った。
「下って行ってミディアンを迎え撃ち、彼らより先にベト・バラまで、そしてヨルダンをも攻略せよ」
それでエフライムのすべての人々が呼び集められ、その者たちは、言われた通りに攻略した。敵がヨルダン川の西岸を制圧し、渡って逃げないようにした。
彼らはまた、ミディアンの二人の君、すなわちオレブとゼエブを捕えた。そして、オレブを岩の上で殺し(のちにその岩はオレブの岩と呼ばれた)、またゼエブを酒ぶねのところで殺した(のちにその酒おけはゼエブの酒ぶねと言われた)。
彼らはミディアンをなおも追跡して行き、またオレブとゼエブの首をヨルダン地方にいたギデオンのところへ携えて来た。
「大儀であった」
ギデオンはエフライムの者たちを慰労した。
「ふざけるな! それが神と共に戦う者の振る舞いか! 片腹痛いわ!」
エフライムを率いてきた長が怒鳴った。持って来た首級(討ち取った首の事)を地に投げつけた。
どう言う事だ? 神と共に戦うこのオレを馬鹿にしやがった! それと、エフライムは何を怒っているんだ? 神との戦いに加われたし、敵の首まで揚げたと言うのに? ギデオンは訝しむ。
「お前がしたことだ! ミディアンと戦おうとして出かける時に、わしたちを呼ばなかった! これは一体どう言う事だ!」
怒りで全身を震わせている長とその兵たちは、今にも襲いかかってきそうな勢いだった。
そうか、戦さに最初から関われなかったことが不満なのか。しかし、神は最初はエフライムを選んでいなかった。つまり、オレのせいじゃないんだがな。でも、そんな事言おうものなら、ここでまた戦さになるのは確実だ。仕方ない、ここは下手に出るか…… ギデオンは笑顔を作る。
「あなた方と比べてわたしがいま何をしたというのでしょうか。エフライムが集めた収穫の残りは、わたしたちアビ・エゼルのぶどうの取り入れに勝っているではありませんか。神はあなた方の手にミディアンの君オレブとゼエブをお与えになりましたが、そのあなた方に比べてわたしがいったい何をなし得たのでしょうか」
ま、実際に大いに助かったわけだから、これくらいの褒め言葉は良いよな。……神と共に戦うオレには屈辱だがな…… ギデオンは思った。
「……そこまで言ってくれるのなら、もはや何も言うまい。こちらも感情的になり過ぎたようだ」
エフライムの怒りが解けた。
ギデオンはヨルダン川を渡り東の地に入った。共にいる三百の兵も疲弊していたが追跡を続けた。ミディアンの王ゼバハとツァルムナを捕えていないからだった。
ギデオンたちは東岸の都市スコトに来た。ギデオンはスコトの人々に懇願した。
「わたしの跡に従っている民に、どうか丸パンを与えてください。彼らは疲れていますが、わたしはミディアンの王ゼバハとツァルムナを追撃しているのです」
スコトの長たちは答えた。
「ゼバハとツァルムナが既に手中にあるとでも言うので、お前の軍隊にパンを与えなければならないのか」
侮辱! 神と共に戦う者たちへの何と言う侮辱だ! 神は勝利を約束されていると言うのに! ギデオンは憤る。
「……神がゼバハとツァルムナをオレの手に与えて下さった時、オレは必ず荒野のいばらとおどろをもって貴様ら身を打ち叩いてやろう! この愚か者どもめが!」
ついで東にある近隣の都市ぺヌエルでも同じように懇願した。しかし、答えは同じだった。
東岸のヤツらには、まさに対岸の火事なのか! イスラエル全体の問題だと言うのに! 神はお怒りになるぞ! ギデオンはさらに憤る。
ギデオンは、西のヨルダン川へと下るヤボク峡谷の入口を掌握するため、戦略的に重要な位置に置かれ、強固に守り固められている都市ペヌエルの見張りの塔を見上げた。ギデオンはその塔を指さして行った。
「無事に戻って来たら、オレはこの塔を打ち崩してやる!」
さて、ミディアンの王ゼバハとツァルムナはカルコルにおり、その陣営も共にあった。その数およそ一万五千人で、東の者たちの全陣営から残ったすべての者であった。
既に倒れた兵士は十二万人であり、剣を携えた者たちであった。
そしてギデオンは天幕に住む者たちの道(隊商が行き交う道)をなおも上ってノバハとヨグベハの東方に進んだ。
まさかここまで追ってはこないだろうと油断し、また逃走で疲弊していた敵陣営に、ギデオンたちは討ちかかった。剣を携えた兵がそれほどいない敵陣は見る間に倒されて行った。もちろん神が共に戦っておられたことが勝因だった。
ゼバハとツァルムナは逃走するが、ギデオンは直ちにこれを追跡し、このミディアンの二人の王を捕えた。こうしてギデオンはその敵の全陣営を撃ち敗った。
(士師記 7章23節から8章12節までをご参照ください)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます