「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あれか。あばらから作られたやつかい?」
「そうだ」
「『これこそついにわたしの骨の骨,わたしの肉の肉。これは“女”と呼ばれよう。男から取られたのだから』って、小躍りしながら歌ってた姿に大笑いさせてもらったぜ」
「そうだったな」
「でも、助け手が必要だなんて、ずいぶんと弱いもんだな」
「そうだけど、神は結構ユーモアのセンスがあるとは思わないか?」
「そうか?」
「男と正反対だぜ。出てないところが出ていて、出ているところが出ていないんだぜ」
「まあ、言われてみれば、そうかもしれないな。でも、助け手としてはちょうどいいんじゃないか?」
「どうしてだ?」
「二人が合わされば、ぴたりと一つになりそうだ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あの女ってやつかい?」
「そうだ」
「気になる事でもあるのかい?」
「男の話すことを聞いているあの態度さ」
「それがどうしたってんだ?」
「あのキラキラした尊敬の眼差し、敬愛のこもった微笑み……」
「ずっと培った男の知識を分けてもらってんだから、そりゃあそうなるだろうさ」
「あんな表情は、神にしか向けられないものだろう?」
「ま、女にとっちゃ、男はそう見えるかもしれないな」
「それって不敬じゃないのか?」
「ま、俺たちは神の使いだ。女は男の助け手、いわば男の使いだ。ある程度は仕方ないんじゃないか?」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「女かい?」
「そうだ」
「あの柔らかそうな髪、身体、肌……」
「なんだよ、ずいぶんとご執心だな」
「そんなことはない! ただ、初めて見るものだからな……」
「そりゃ、そうだな」
「それにあの声も、俺たちと違って、高くて軽やかで鳥のさえずりのようだ」
「ま、笑い声なんか聞こえてくると、他の奴らも地上を見下ろして微笑んでいるからな」
「ただ、いつも男と居るのがちょっと、不満だな」
「だって、男の助け手だから、それは仕方のないことだろう?」
「でも、あらかたのことは男から教わりつくしているはずだぜ。そろそろ自分で色々とやってもいいんじゃないか?」
「ま、その内そうなるんじゃないか?」
「そうかな?」
「たぶんな。それで、一人で動けるようになったら、声でもかけてみたらいいんじゃないか?」
「だが、俺たちの姿は奴らには見えないぜ」
「だったら、なんかの姿を借りるとかさ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あの二人かい?」
「ずいぶんと仲がよさそうじゃないか」
「争いをしているよりは、良いんじゃないか?」
「そうだが、良すぎないか?」
「いいじゃないか。『男は自分の妻に堅く付き,ふたりは一体となる』って言うんだから」
「そうなんだけど、気にならないか」
「別に。かえって微笑ましいじゃないか」
「俺は気になって勤めに身が入らないよ」
「じゃあ、二人の仲を裂いちゃえばいいじゃないか」
「どうやってさ?」
「男の言ったことを破らせるんだよ。ダメって言ったことをさせちゃうとかさ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
創世記3章1節~7節
さて,エホバ神が造られた野のすべての野獣のうち蛇が最も用心深かった。それで蛇が女にこう言いはじめた。「あなた方は園のすべての木からは食べてはならない,と神が言われた+のは本当ですか」。それに対して女は蛇に言った,「園の木の実をわたしたちは食べてよいのです。でも,園の真ん中にある木の実を食べることについて,神は,『あなた方はそれから食べてはならない。いや,それに触れてもならない。あなた方が死ぬことのないためだ』と言われました」。それに対して蛇は女に言った,「あなた方は決して死ぬようなことはありません。その木から食べる日には,あなた方の目が必ず開け,あなた方が必ず神のようになって善悪を知るようになることを,神は知っているのです」。そこで女は見て,その木が食物として良く,目に慕わしいものであるのを知った。たしかに,その木は眺めて*好ましいものであった。それで彼女はその実を取って食べはじめた。その後,共にいたときに夫にも与え,彼もそれを食べはじめた。すると,その二人の目は開け,ふたりは自分たちが裸であることに気づくようになった。そのため,彼らはいちじくの葉をつづり合わせて自分たちのために腰覆いを作った。
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あれか。あばらから作られたやつかい?」
「そうだ」
「『これこそついにわたしの骨の骨,わたしの肉の肉。これは“女”と呼ばれよう。男から取られたのだから』って、小躍りしながら歌ってた姿に大笑いさせてもらったぜ」
「そうだったな」
「でも、助け手が必要だなんて、ずいぶんと弱いもんだな」
「そうだけど、神は結構ユーモアのセンスがあるとは思わないか?」
「そうか?」
「男と正反対だぜ。出てないところが出ていて、出ているところが出ていないんだぜ」
「まあ、言われてみれば、そうかもしれないな。でも、助け手としてはちょうどいいんじゃないか?」
「どうしてだ?」
「二人が合わされば、ぴたりと一つになりそうだ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あの女ってやつかい?」
「そうだ」
「気になる事でもあるのかい?」
「男の話すことを聞いているあの態度さ」
「それがどうしたってんだ?」
「あのキラキラした尊敬の眼差し、敬愛のこもった微笑み……」
「ずっと培った男の知識を分けてもらってんだから、そりゃあそうなるだろうさ」
「あんな表情は、神にしか向けられないものだろう?」
「ま、女にとっちゃ、男はそう見えるかもしれないな」
「それって不敬じゃないのか?」
「ま、俺たちは神の使いだ。女は男の助け手、いわば男の使いだ。ある程度は仕方ないんじゃないか?」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「女かい?」
「そうだ」
「あの柔らかそうな髪、身体、肌……」
「なんだよ、ずいぶんとご執心だな」
「そんなことはない! ただ、初めて見るものだからな……」
「そりゃ、そうだな」
「それにあの声も、俺たちと違って、高くて軽やかで鳥のさえずりのようだ」
「ま、笑い声なんか聞こえてくると、他の奴らも地上を見下ろして微笑んでいるからな」
「ただ、いつも男と居るのがちょっと、不満だな」
「だって、男の助け手だから、それは仕方のないことだろう?」
「でも、あらかたのことは男から教わりつくしているはずだぜ。そろそろ自分で色々とやってもいいんじゃないか?」
「ま、その内そうなるんじゃないか?」
「そうかな?」
「たぶんな。それで、一人で動けるようになったら、声でもかけてみたらいいんじゃないか?」
「だが、俺たちの姿は奴らには見えないぜ」
「だったら、なんかの姿を借りるとかさ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
「おい、見てみろよ!」
「なんだよ?」
「あれ、だよ」
「ああ、あの二人かい?」
「ずいぶんと仲がよさそうじゃないか」
「争いをしているよりは、良いんじゃないか?」
「そうだが、良すぎないか?」
「いいじゃないか。『男は自分の妻に堅く付き,ふたりは一体となる』って言うんだから」
「そうなんだけど、気にならないか」
「別に。かえって微笑ましいじゃないか」
「俺は気になって勤めに身が入らないよ」
「じゃあ、二人の仲を裂いちゃえばいいじゃないか」
「どうやってさ?」
「男の言ったことを破らせるんだよ。ダメって言ったことをさせちゃうとかさ」
「なるほどな……」
「おいおい、冗談だよ、冗談!」
「……」
創世記3章1節~7節
さて,エホバ神が造られた野のすべての野獣のうち蛇が最も用心深かった。それで蛇が女にこう言いはじめた。「あなた方は園のすべての木からは食べてはならない,と神が言われた+のは本当ですか」。それに対して女は蛇に言った,「園の木の実をわたしたちは食べてよいのです。でも,園の真ん中にある木の実を食べることについて,神は,『あなた方はそれから食べてはならない。いや,それに触れてもならない。あなた方が死ぬことのないためだ』と言われました」。それに対して蛇は女に言った,「あなた方は決して死ぬようなことはありません。その木から食べる日には,あなた方の目が必ず開け,あなた方が必ず神のようになって善悪を知るようになることを,神は知っているのです」。そこで女は見て,その木が食物として良く,目に慕わしいものであるのを知った。たしかに,その木は眺めて*好ましいものであった。それで彼女はその実を取って食べはじめた。その後,共にいたときに夫にも与え,彼もそれを食べはじめた。すると,その二人の目は開け,ふたりは自分たちが裸であることに気づくようになった。そのため,彼らはいちじくの葉をつづり合わせて自分たちのために腰覆いを作った。
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