Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

315円の花器で遊ぶ

2011-04-21 09:21:12 | その他
二十四節季でいう「穀雨」にふさわしいどんより空だ。
少し早く植えすぎたと思っていたジャガイモが、六畳一間くらいのミニ菜園の盛り土を跳ね除けて若葉を繁らせ始めて安堵する。
窒素やカリを混ぜた市販の野菜肥料を追肥するちょうどよい時候が「穀雨」の頃。
余分に繁る若葉を間引きして、時どき、栄養を与えることをさぼらなければ、6月の下旬には茹でてよし、煮てよし、焼いてよし!な「男爵」や「きたあかり」といった新ジャガをほお張る楽しみが待っている。

伊勢原の町へ下りたついでに寝床用読書本をブックオフにて漁る。
支離滅裂な選択ながら自分の中では趣味が繋がっているところが面白い。

関東軍参謀だった石原莞爾の「最終戦争論」。北九州の土と血が恒常的に香りたつ村田喜代子の「蕨野行」田中澄江「花の百名山」玄侑宗久監訳・葵志忠作画の「マンガ 仏教的生き方」半藤一利の「昭和史」など全て文庫本、半藤以外はオール105円!

東条英機と衝突して陸軍の窓際族となった石原は、完全武力放棄を戦後唱えたとのこと。故郷山形で農本主義的生活を送った石原莞爾の晩年の沈黙に興味が湧く。
16歳から始まった白樺派→マルクス主義→吉本隆明的自立主義は自己流通奏低音を奏でながら、時代への触覚フィルターとして我が余生に往還していることを痛感!

ブックオフのついでに、これ以上駄モノを見つけるのが困難と思われるすぐ横のリサイクルショップを覗く。
古本屋へ入ったときと同じで一瞥のスピードたるや電光石化の早業だ。
つまらない有田や京焼きの花器の横で不機嫌そうに寝転んでいる備前焼を発見する。
高さ30センチ弱の手桶型花器だ。3150円!と思いきや315円。不憫を感じて甦らせてやろうと購入する。

備前の約束ごとである桟切りもあるし、緋色も出ている。
手桶の手提げ付近のざっくりと切り立てたごつい質感は付近の色がモノトーンな黄土色で、かえって現代塗料風の前衛性が漂って面白い。家に戻って窯印を調べたら、金重利陶園のマークで数モノらしい。
しかし315円はないだろう、いくら茶色で爺むさいと思って値をつけた店員さん!
敷地に自生するいまが盛りの淡い紅色の八重椿を生けてあげたら、この手桶花器は都内世田谷付近の旧家の居間に昔から佇んでいるみたいになった。


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