お客さんからの質問がありました。
「土地にアパート建てて相続対策をしませんか?」といくつものゼネコンさんが来るんだけどどうして相続対策になるの?
確かに、新聞、雑誌、CM・・・etc相続対策セミナーの参加者募集がすごいですね。
今日は、「不動産を使った相続対策の理屈」をご紹介します。
まず、どうしてこんなに相続対策セミナーが盛況かということですが、一番の理由は、平成27年度1月1日以降に発生した相続に関して、相続税の基礎控除が3,000万円+600万円×法定相続人数になってしまったからなのです。
(平成26年12月31日までは5,000万円+1,000万円×法定相続人数でした。)
【ボクの独り言・・・なんか最初は、消費税を上げない代わりに相続税を上げますよって聞いてた気がします。その理由は、政府は税収が足らなくて大変だから税収を上げようと考えてるけど、安易に消費税を上げちゃったら国民全員から税金をもらうことになるけど、それより払ってる人が4%しかいない相続税を上げた方が目立たなくていいじゃん。しかも、消費税だと、一般庶民もお金持ちも100万円の消費税がかかることになったら年収2,000万円の人と年収200万円の人だと税負担が10倍も変わるからしちゃダメでしょうってなことで、消費税は上げずに相続税を上げましょうって感じでした。
結局、相続税だけじゃ足らないから消費税も上がっちゃいましたけど・・・。】
んで、この基礎控除を引下げにすることで、相続税の納税者が4%から6%に増加するよってことです。ホントは、納税者数が増えることより一被相続人当たりの納税額が増えちゃうことが問題なんだけど、あんまり目立ってないんですよね。
では、納税者が増えるとはどういうことかというと、言いますと
たとえば
家族構成:お父さん(以後 父)、お母さん(以後 母)、長男(以後 A)、次男(以後 B)の4人家族。
財産:5,000万円(土地も借金も全部、換価したあとの金額) の時。
父が亡くなった場合
法定相続人が3人なので「基礎控除」は
平成26年12月31日までは、「5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円」だったので、
財産5,000万円―8,000万円=▲3,000万円だから税金はかかりませんでした。
それが、
平成27年1月1日以降は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」なので
財産5,000万円―4,800万円=200万円となり相続税が課税されることになります。
(実際は、いろんな特例があってホントの納税は0円のことが多いけど、確定申告が必要になります。)
つまり、この家族構成の場合
財産4,800万円~8,000万円の人が新しく税金を払う(2%の)人になるわけですね。
そして思う。そんな5,000万円近い財産があるやついるのかよ!!!
これが、結構いちゃったりします。
たとえば、
分譲の戸建てを4,000万円(土地2,000万円、建物2,000万円)で購入したとします。これを相続税の価値に直すと大体土地が1,600万円+建物1,200万円=2,800万円くらい(当然住所や建物の経過年数で変わりますよ。)
これと別に現金が500万円と保険金が2,000万円あると全部で5,300万円になってしまうわけですね。
イヤイヤ、家を買った時の借金もあるぜってことになるんですが、ほとんどの住宅ローンの場合、団体信用生命保険という保険がついいててこの保険金で借金が相殺されてしまうわけです。
なんですが、結局のところいろんな特例使ったら税金はかからないので、CMでいう相続税対策が必要な方というと
①お金がありすぎて困っちゃうぜという人と
②土地を持ってて困っちゃうぜという人になります。
ただし、①の人についてはお金は使っちゃえばいいし、最後には相続税として払うことが出来るのでそんなに困ってません。
しかし、②の土地を持ってる人は、このご時世売っても安くしか売れないし、納税するための現金も持ってないのに多額の税金がかかっちゃって、税金を払うのにお金を借りる人も少なくないんですね。
(まあ、①の人も税金は払いたくないので、タワーマンションの一室を買ったりして相続対策をするわけですが、それはまた今度・・・)
したがいまして、相続対策を持ちかけるゼネコンさんやセミナーの対象者は土地を持ってる人ということになりますね。
では、なぜ土地に建物を建てることが相続対策になるのか秘密を大公開(そんなに大したことではないけど)します。
確かに、建物を建ててもお金でモノを買うわけだから財産が減るわけではない、しかも家賃が入ってきたら逆に増えてまうやないか~と突っ込みたくなるところですね。
順を追ってご説明いたしますと
たとえば、1,000㎡の更地の駐車場を持っている方がいて、その土地に接する道の相続税の路線価格が1㎡当たり100,000円としましょう。
つまり
1,000㎡×100,000円=100,000,000円が相続税評価額となります。
この1億円を基に相続税が計算されていくのですね。
【独り言・・・売買価格では、ないところに注意しましょう!!
ちなみに、固定資産税評価額÷0.7=公示価格となりまして、公示価格×0.8=相続税評価額となります。
公示価格とは、国の偉い人がこの辺は大体この価格が売り買いの相場ですよ。騙されたりしないでねえということです。】
現状での相続税の計算では、先ほどの家族構成(法定相続人母・子2人)として、財産は他に全くないものとします。
さてそれでは、このケースで相続税がかかるのかというと
財産1億円―4,800万円=5,200万円となるので相続税はかかりますね。
実際は、この5,200万円に対していろいろ計算して相続税が決まります。
ではでは、この土地に建物を建てたとしたらどうしましょう!!
建てる建物は、2億円のマンションとします。
そして、
建てるお金は、全部借金です。
さて、ポイントですが、
①建築費:200,000,000円
②利用目的:賃貸マンション
③借入金:200,000,000円
④土地の価格:100,000,000円 です。
これだけ見ると
④の土地1億円+①建物2億円-③借金2億円=1億円
になって、全然変わらんじゃないかとなりますが、
②の賃貸マンションというのがとても大きな意味を持つんですね。
この賃貸マンションを建てるとどんなことが起るかというと
まず、①の2億円のマンションなんですが、約60%まで相続税評価が下がります。これは、相続税の評価額が固定資産税評価額を基準にすることから起こるのですが、新築でも概ね60%が固定資産税評価額になります。
その上で、
賃貸マンションとなると借家権という権利が借主さんにあるので更に30%OFFになるのですね。
つまり、
建物2億円×60%×70%=8,400万円⑤まで評価額が下がります。
なんと
1億1,600万円の評価減!!!
ほんでもって、④の土地も借主さんの権利があるから、12%OFF(地域によって大きく異なります。)」
つまり、
土地1億円×88%=8,800万円⑥となって1,200万円の評価減となります。
それでは、いったいいくらになったのかというと
⑥の土地8,800万円+⑤建物8,400万円-③借金2億円=▲2,800万円 となってしまいました。
なんということでしょう
基礎控除とか考える前にすでに赤字・・・
まあ、すべてがこううまくいくわけではないですが、これが建築して相続税を減らすスキルなのです。
しか~し、
相続のことだけを考えてしまい、その後のマンション経営がうまくいかず結局売ってしまうようなことのないように目先の税金だけではなく、経営者として将来を見据え、後継者とともに計画を立てる必要があります。
「土地にアパート建てて相続対策をしませんか?」といくつものゼネコンさんが来るんだけどどうして相続対策になるの?
確かに、新聞、雑誌、CM・・・etc相続対策セミナーの参加者募集がすごいですね。
今日は、「不動産を使った相続対策の理屈」をご紹介します。
まず、どうしてこんなに相続対策セミナーが盛況かということですが、一番の理由は、平成27年度1月1日以降に発生した相続に関して、相続税の基礎控除が3,000万円+600万円×法定相続人数になってしまったからなのです。
(平成26年12月31日までは5,000万円+1,000万円×法定相続人数でした。)
【ボクの独り言・・・なんか最初は、消費税を上げない代わりに相続税を上げますよって聞いてた気がします。その理由は、政府は税収が足らなくて大変だから税収を上げようと考えてるけど、安易に消費税を上げちゃったら国民全員から税金をもらうことになるけど、それより払ってる人が4%しかいない相続税を上げた方が目立たなくていいじゃん。しかも、消費税だと、一般庶民もお金持ちも100万円の消費税がかかることになったら年収2,000万円の人と年収200万円の人だと税負担が10倍も変わるからしちゃダメでしょうってなことで、消費税は上げずに相続税を上げましょうって感じでした。
結局、相続税だけじゃ足らないから消費税も上がっちゃいましたけど・・・。】
んで、この基礎控除を引下げにすることで、相続税の納税者が4%から6%に増加するよってことです。ホントは、納税者数が増えることより一被相続人当たりの納税額が増えちゃうことが問題なんだけど、あんまり目立ってないんですよね。
では、納税者が増えるとはどういうことかというと、言いますと
たとえば
家族構成:お父さん(以後 父)、お母さん(以後 母)、長男(以後 A)、次男(以後 B)の4人家族。
財産:5,000万円(土地も借金も全部、換価したあとの金額) の時。
父が亡くなった場合
法定相続人が3人なので「基礎控除」は
平成26年12月31日までは、「5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円」だったので、
財産5,000万円―8,000万円=▲3,000万円だから税金はかかりませんでした。
それが、
平成27年1月1日以降は、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」なので
財産5,000万円―4,800万円=200万円となり相続税が課税されることになります。
(実際は、いろんな特例があってホントの納税は0円のことが多いけど、確定申告が必要になります。)
つまり、この家族構成の場合
財産4,800万円~8,000万円の人が新しく税金を払う(2%の)人になるわけですね。
そして思う。そんな5,000万円近い財産があるやついるのかよ!!!
これが、結構いちゃったりします。
たとえば、
分譲の戸建てを4,000万円(土地2,000万円、建物2,000万円)で購入したとします。これを相続税の価値に直すと大体土地が1,600万円+建物1,200万円=2,800万円くらい(当然住所や建物の経過年数で変わりますよ。)
これと別に現金が500万円と保険金が2,000万円あると全部で5,300万円になってしまうわけですね。
イヤイヤ、家を買った時の借金もあるぜってことになるんですが、ほとんどの住宅ローンの場合、団体信用生命保険という保険がついいててこの保険金で借金が相殺されてしまうわけです。
なんですが、結局のところいろんな特例使ったら税金はかからないので、CMでいう相続税対策が必要な方というと
①お金がありすぎて困っちゃうぜという人と
②土地を持ってて困っちゃうぜという人になります。
ただし、①の人についてはお金は使っちゃえばいいし、最後には相続税として払うことが出来るのでそんなに困ってません。
しかし、②の土地を持ってる人は、このご時世売っても安くしか売れないし、納税するための現金も持ってないのに多額の税金がかかっちゃって、税金を払うのにお金を借りる人も少なくないんですね。
(まあ、①の人も税金は払いたくないので、タワーマンションの一室を買ったりして相続対策をするわけですが、それはまた今度・・・)
したがいまして、相続対策を持ちかけるゼネコンさんやセミナーの対象者は土地を持ってる人ということになりますね。
では、なぜ土地に建物を建てることが相続対策になるのか秘密を大公開(そんなに大したことではないけど)します。
確かに、建物を建ててもお金でモノを買うわけだから財産が減るわけではない、しかも家賃が入ってきたら逆に増えてまうやないか~と突っ込みたくなるところですね。
順を追ってご説明いたしますと
たとえば、1,000㎡の更地の駐車場を持っている方がいて、その土地に接する道の相続税の路線価格が1㎡当たり100,000円としましょう。
つまり
1,000㎡×100,000円=100,000,000円が相続税評価額となります。
この1億円を基に相続税が計算されていくのですね。
【独り言・・・売買価格では、ないところに注意しましょう!!
ちなみに、固定資産税評価額÷0.7=公示価格となりまして、公示価格×0.8=相続税評価額となります。
公示価格とは、国の偉い人がこの辺は大体この価格が売り買いの相場ですよ。騙されたりしないでねえということです。】
現状での相続税の計算では、先ほどの家族構成(法定相続人母・子2人)として、財産は他に全くないものとします。
さてそれでは、このケースで相続税がかかるのかというと
財産1億円―4,800万円=5,200万円となるので相続税はかかりますね。
実際は、この5,200万円に対していろいろ計算して相続税が決まります。
ではでは、この土地に建物を建てたとしたらどうしましょう!!
建てる建物は、2億円のマンションとします。
そして、
建てるお金は、全部借金です。
さて、ポイントですが、
①建築費:200,000,000円
②利用目的:賃貸マンション
③借入金:200,000,000円
④土地の価格:100,000,000円 です。
これだけ見ると
④の土地1億円+①建物2億円-③借金2億円=1億円
になって、全然変わらんじゃないかとなりますが、
②の賃貸マンションというのがとても大きな意味を持つんですね。
この賃貸マンションを建てるとどんなことが起るかというと
まず、①の2億円のマンションなんですが、約60%まで相続税評価が下がります。これは、相続税の評価額が固定資産税評価額を基準にすることから起こるのですが、新築でも概ね60%が固定資産税評価額になります。
その上で、
賃貸マンションとなると借家権という権利が借主さんにあるので更に30%OFFになるのですね。
つまり、
建物2億円×60%×70%=8,400万円⑤まで評価額が下がります。
なんと
1億1,600万円の評価減!!!
ほんでもって、④の土地も借主さんの権利があるから、12%OFF(地域によって大きく異なります。)」
つまり、
土地1億円×88%=8,800万円⑥となって1,200万円の評価減となります。
それでは、いったいいくらになったのかというと
⑥の土地8,800万円+⑤建物8,400万円-③借金2億円=▲2,800万円 となってしまいました。
なんということでしょう
基礎控除とか考える前にすでに赤字・・・
まあ、すべてがこううまくいくわけではないですが、これが建築して相続税を減らすスキルなのです。
しか~し、
相続のことだけを考えてしまい、その後のマンション経営がうまくいかず結局売ってしまうようなことのないように目先の税金だけではなく、経営者として将来を見据え、後継者とともに計画を立てる必要があります。
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