ぼくが小学校の頃、運動会になると決まって流行るものがあった。それはサポーターである。足首にサポーターを着けると、足が速くなるという噂が学校中に流れたのだ。
そういえば、足が速いといわれている人間は、みなサポーターを着けている。
「そうか、あいつらの足が速いのは、サポーターのせいだったのか」と、単純なぼくたちは、さっそく文房具屋で、サポーターを買い求めた。
なるほどサポーターを着けると、足が軽い。
「やはり、これを着けると足が速くなるんだ」と勘違いしてしまった。
ある男は、サポーターを10個ばかり買い込み、足中にサポーターをつけていた。
ぼくが「それだけつけると、かなり足が速くなるやろ」と聞くと、その男は「おう、効きよるぞ。足がジンジンしてくるけ」と言った。
「ほんとか!やっぱりサポーターは効くんやのう」
バカなぼくたちのサポーター神話は、その男の一言で不動のものになった。
足がジンジンって、つまり血行が悪くなって、足が痺れるのだ。結局、サポーター10個男はドベだった。きっと足が思うように動かなかったのだろう。情けない・・・。