ところが、今朝見た夢はかなり印象的なものだった。それも、これまでに見たことのない、SF的なものだったのだ。タイトルをつけとしたら、『二十歳の頃ツアー』ということになるだろうか。
何かこの世の終わりがきているような場面から、夢は始まった。
案内の者がしきりに、
「宇宙に行かれる方はこちら、二十歳の頃に戻られる方はこちらにご乗車下さい」と言っている。
どうしようかと迷ったあげく、ぼくは『二十歳の頃行き』の乗り物に乗ったのだった。
そこで以前勤めていた会社の先輩に会う。
「あっ、しんた」
「Tさんもこれに乗るんですか?」
「うん。これに乗って、もう一度やり直してみようと思う。おまえもそういう意図で乗ったんやろ?」
「それもあるんやけど、あの時代をもう一度見てみたいんですよ」
「なるほど。しかし、これが着いた頃には、お互いまた知らん同士になるんやの」
「ああ、そうなるんでしょうね」
その乗り物は1日10年くらいのペースで、時間を遡っていった。窓の外の風景がだんだん昔に戻っていき、空は公害のせいで霞んでいく。
数日後、ようやくタイムマシンは二十歳の頃に着いた。その時には、もう先輩の姿は見えなかった。
懐かしい街並みの中に、亡くなった伯父の姿を見つけた。
「しんた、釣りでも行くか?」
二十歳の頃ならすぐに「行く」と返事したのだが、その時は違った。ちょっと躊躇したのだ。
ぼくはあることに気づいた。ちょっと躊躇するのは、今の自分なのだ。伯父がぼくに気がついたのだから、確かにぼくの容姿は二十歳の頃に戻っていたのだろうが、心はそのまま今だというわけだ。
釣りに行くかどうか迷っているうちに、夢は覚めてしまった。もしこれが初夢だったとしたら、この一年をどう判断したらいいのだろうか?懐古的になるということか。しかし、それなら今までと何ら変わらない。
ということは、相も変わらぬ一年ということか。
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