【1】
階段の怪人が
ジイっとこちらを伺っている
来る日も来る日も
飽きもせずに
ジイっとこちらを伺っている
たまに足を踏み外すのか
ときおり
ギイっという音がする
昭和34年に引っ越して以来、ずっとこの地区に住んでいる。最初に住んだ家は、県営の二階長屋だった。当時この町内には二階建ての家などなかった。そのためいろんな人が、ぼくの友達だと言って訪れてきて、うちの二階からの風景を楽しんでいた。
家の構造は、一階が6畳程度の台所兼居間とトイレと風呂、二階が6畳と3畳の和室だった。もちろん二階に上がるため階段があったのだが、その階段がわりと急で、よく足を滑らしては落ちていたものだ。
さて、そこに移り住んでから何年か経った頃、そうぼくが幼稚園に通い出した頃から、その階段にちょっとした異変を感じるようになった。誰もいないのに階段を誰かが上ったり下りたりする音がしたり、そこに人が立っているような気配を感じたり。それはぼくだけが感じていたのではなく、母も感じていたという。
階段の怪人が
ジイっとこちらを伺っている
来る日も来る日も
飽きもせずに
ジイっとこちらを伺っている
たまに足を踏み外すのか
ときおり
ギイっという音がする
昭和34年に引っ越して以来、ずっとこの地区に住んでいる。最初に住んだ家は、県営の二階長屋だった。当時この町内には二階建ての家などなかった。そのためいろんな人が、ぼくの友達だと言って訪れてきて、うちの二階からの風景を楽しんでいた。
家の構造は、一階が6畳程度の台所兼居間とトイレと風呂、二階が6畳と3畳の和室だった。もちろん二階に上がるため階段があったのだが、その階段がわりと急で、よく足を滑らしては落ちていたものだ。
さて、そこに移り住んでから何年か経った頃、そうぼくが幼稚園に通い出した頃から、その階段にちょっとした異変を感じるようになった。誰もいないのに階段を誰かが上ったり下りたりする音がしたり、そこに人が立っているような気配を感じたり。それはぼくだけが感じていたのではなく、母も感じていたという。