ぼくの家はマンションの六階で、北側と南側に部屋がある。
北側の部屋といってもイメージ的なもので、正確には東北東に位置している。おかげで日の出を拝む時は、正確には西南西に位置しているイメージ南側の部屋ではなく、イメージ北側の部屋に行く必要がある。その部屋の窓の右側を拝むわけだ。
同じくこの地区からは東南に位置する、この市のシンボルとなっている山は、その部屋の窓の右側から顔を出して、さらに右端を見ないと拝めない。
ぼくは生まれてから、ずっとその山を実家の正確な南側の部屋から見ていた。だけど今の家からだとイメージ的に、南側に位置する部屋からは見えず、北側の部屋から見えるわけだ。
ここに越してきてから十数年経つのだが、ぼくはいまだにこの方位のズレに戸惑いを感じている。それが生活に微妙な影響を与えているようにも思える。
もしそうだとすればこの日記も、その影響下にきっとあるのだろう。