サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

スマートシティで生活はどう変わるか

2011年01月16日 | 気候変動緩和・低炭素社会

財団法人ハイライフ研究所から、「スマートシティで生活はどう変わるか」という内容で講義を依頼された。

1時間程度の講義の様子を映像として記録し、インターネットにアップするという企画だ。講義後には、財団の研究員と意見交換を行い、研究員の報告書も作成される。

ITと環境はこだわり続けたいテーマなので引き受けさせていただいた。ただ、スマートシティだけが低炭素対策の全てでなく、またそれで生活が大きく変わるという話しは成り立ちにくい。そこで、次のような構成を組み立てた。

 1.スマートシティの動向(エネルギーの情報化)

   ・スマートシティの背景と構成、展望

 2.環境モデル都市の動向(低炭素の基盤化と仕組み化)

   ・スマートシティになくて、環境モデル都市にあるもの

 3.市民共同発電事業の動向(エネルギーの民主化)

   ・市民主導の低炭素地域づくりの可能性

 4.まとめ

   ・1~3で生活の選択肢はどう変わるのか、実際に普及するのか。

 

講義後の意見交換では、スマートシティや環境モデル都市の取組みで生活が変わることが期待されていること、また生活の選択肢が増えることは理解できるが、その取組みが実際に普及するのかという話題が中心となった。

スマートシティは、供給側の都合や景気対策、研究や技術シーズの側から動き出し、太陽光発電の普及等による系統電力の安定性確保を大義とする(日本の場合)。しかし、それが本当に必要とされるまでに、太陽光発電や電気自動車は普及するのだろうか。

また、環境モデル都市の取組みも、従来の施策以上に、広く住民に普及するものとなるのだろうか。他地域への普及を考えてみても、環境による地域発展を目指す一部の都市の戦略に留まりはしないだろうか。

加えて、環境モデル都市における先駆的で総合的取組みも、これまで通り熱心層だけが参加するものになりはしないか、広がりを持った普及を実現できるのだろうか。

供給側の思惑を先行させた実験や絵を描くだけでなく、普及のために必要な利用者メリットの創出、経済性等との両立性の確保、使ってみたくなる価値の創造等について、十分な検討が必要である。

例えば、私が注目しているのは、スマートシティを構成する要素のうち、家庭内の省エネナビゲーションである。太陽光発電でどれだけ発電し、電気自動車にどれだけ充電しているか、また家電製品は無駄使いになっていないかなどといった診断・誘導情報が、リアルタイムで表示されることの意味は大きい。

しかし、そのインターフェースの見せ方、デザインの出来次第で、その効果は異なるだろうし、その普及も左右されるだろう。例えば、スマートフォンの普及は、単に便利なだけではない。画面のスムーズなタッチ、メニューの使いやすさ等が魅力的だからこそ、急速に普及してきた。 ナビゲーションシステムが完成された魅力的なものとなるだろうか、そこに注目したい。

 

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