1.社会的位置づけに係る課題
●揺籃期にあるコミュニティ・ファンド
・国内におけるコミュニティ・ファンド(以下、文章中ではCF)は、1980年代後半に設立された「市民バンク」を皮切りに、バブル崩壊後にスタートした「未来バンク事業組合」がノウハウを確立し、その後、NPO支援センター、生活協働組合、民間金融機関等がコミュニティ・ビジネス(以下、文章中ではCB)を対象とした融資事業を展開してきている。
・このように、歴史が浅い事業であり、2006年度には金融貸付法の適用除外、貸金業の付帯決議等を確保したもの、その社会的な位置づけは流動的であり、充分とはいえない。
●揺籃期から確立期に移行するための具体的なコンセプトの共有
・CFに共通する特徴は、CBを投融資により支援することである。CBとは、地域密着、市民参加、公益性などをキーワードとした事業を、ビジネスという手法で実現・継続していくものである。しかし、CBの事業規模、収益性、事業エリア等は幅があり、それゆえCFにおける投融資は、対象CBの公益性と事業性の評価のウエイトづけに幅を持つ。
・CFの多様性・実験性が許容される揺籃期である現在の状況から、社会的位置づけの確立期に移行していくためには、CFの多様性や事業の幅を残しつつ、どのようなCBを、どのような視点から審査し、どのように支援するのか、具体的なコンセプトを共有していく必要がある。
●(ニッチを埋めるのではない)地域づくり・人づくりを支援する役割
・環境省における今回の事業は、第三次環境基本計画における重点分野政策プログラムの1つである「環境保全の人づくり・地域づくりの推進」に基づくアクションとしても、実施される。
・CBにせよ、それを支援するCFにせよ、大規模な営利事業からこぼれるところ、あるいはNPO活動にしては収益性が見込めるところを埋めるというニッチな位置づけに甘んじるものではない。
・環境政策が目指す環境と経済、社会を統合的に発展させる地域経済システムを先取り・具現化するという、より能動的な位置づけを持つべきである。環境関連以外のCB及びその支援においても、サステナブルな未来の地域社会を先取りする視点が必要である。
2.融資対象となる事業の評価等における課題
●公益性と収益性の評価をどのように精査し、どのようにバランスさせるか
・金融機関における融資審査は、事業内容、組織運営力、財務内容、返済原資等を審査する。一方、極端なCFは、ミッションの内容次第、理事会の人員構成や運営状況、代表者個人の信頼性等、特定の視点を重視して審査する。収益性をどこまで厳密に評価するか、ミッションの公益性と収益性どのようにバランスさせるかが、CFの本質的課題である。
・一方、冒頭に示したように、CFといっても、母体となる事業主体、事業形態は多様である。例えば、CFは、市民バンク型、NPO等と行政との提携型、NPO等と民間金融機関との提携型、金融機関の融資商品型、その他生活協同組合型等に分類することができる。市民出資の程度も幅がある。こうしたタイプ毎に、事業評価における項目のウエイトづけや、事業評価の精度が選択される。
・現在、CFにおいて融資が中心であるが、投資の場合では融資以上に対象事業の審査を慎重に行う。また、同じコミュニティ・ファンドであっても、融資商品の品揃えを増やし、商品によって、事業評価の方法を差別化することも考えられる。投資と融資、融資商品のコンセプトによって、審査項目は異なる。審査項目やそのウエイトづけ、事業評価の精度について、最大公約数と選択肢を整理し、コンセプトに応じた審査項目の設定方法を整理することが考えられる。
参考) コミュニティ・ファンドにおける審査項目
生活クラブ運動グループ福祉事業連合
・創造性:新しい試みに挑戦するもの
・参加性:さまざまな立場の人々が参加できる可能性をもつもの
・循環性:たすけあう関係が固定的でなく、替わりあう可能性をもつもの
・地域性:地域の課題、ニーズに即した活動を行っているもの
・運動性:社会的な異議申し立てや課題解決に向けた視点をもつもの
・発展性:人も組織も育ち、波及効果が予想されるもの
・協同性:“施し”ではなく、たすけあい、協同による参加型の福祉を実態化するもの
有限会社中間法人APバンク
・独自性、新規性、市民性、発展性
NPO法人神奈川子ども未来ファンド
・場の必要性
・事業の必要性・先駆性・開拓性
・応募内容の計画性や実現可能性
・他団体、他地域へのモデル性、波及効果
●市民参加性と客観専門性をどのように担保し、どのようにバランスさせるか
・CFは、陪審員制度が裁判への市民参加であることと同様、金融への市民参加の手段としても位置づけられる。CFは、融資対象となるCBへの市民参加を促すとともに、その運営への市民参加も促すことが存在意義として重要な意味を持つ。この市民参加と客観専門性の両立が課題となる。
・融資対象となる事業の評価への市民参加と、事業の客観的な評価とのバランスの取り方についても、CFのタイプや商品に応じた差別化を図ることが考えられる。ただし、市民参加を行わない融資について、金融への市民参加というCFの社会的意義を考慮し、市民参加の手法を示していくことも考えられる。
・なお、審査の煩雑さと遅延化を避けながら、どれだけ丁寧に審査を行うべきか、市民参加型のスローファンドを目指すのか、駆け込み寺的なクイックファンドを目指すのか、多様な方向性がある。CFが目指す目標・コンセプトを定め、それに応じた審査方法を採用することが必要である。
3.インターメディアリーとしての課題
●コミュニティ・ファンドに期待される“投融資プラスα”
・CFは、インターメディアリーとして、CBに対して、投融資プラスαの事業を行うことが期待される。このプラスαの部分の手法の確立・共有が求められる。プラスα部分で期待される事業内とその実施における課題を示す。本業務では、CFがインターメディアリーとして、投融資プラスαをどれだけ、どのように実施するのか、その具現化を図るためにモデル事業を実施し、ノウハウを共有化する。
●コミュニティ・ビジネスの事業計画の作成方法のアドバイスをどこまで行うか
・CBの作成する事業計画は、計画すべき要素や計画の作成方法等がわかっていない場合がある。こうした未熟な計画を、それゆえ融資対象から除外するのではなく、事業計画の作成方法等にアドバイスを行う。事業計画は、次の点を整理、具体化するうえで重要である。
・事業を取り巻く内外要因の分析(SWOT分析)
・事業の付加価値・競合との差別化
・適正な価格戦略販促、広報戦略
・資金調達計画 等
・有機野菜ラーメンのCBへの支援を検討するとしよう。有機が売りであっても、最終的には野菜ラーメンのおいしさが生命線である。では、おいしい有機野菜ラーメンはどうしたら作れるか。CBにおける事業計画は、その事業設計の方法論ではなく、事業内容自体へのアドバイスができなければならない。この場合、やはり必要なことは、ラーメンの達人の指導を得ることであり、CFは、その仲介役を果たせばよい。
・“環境CB”においては、地域内外の環境政策や社会経済動向の事業環境の変動要素が大きく、その影響を受けやすい。このため、環境政策等の動向と影響等の外部要因の経営リスクに踏み込んだ専門的なアドバイスが、事業計画の支援においても必要となる。
・また、CBにおける資金調達の方法は、投融資だけではない。事業収入の拡大、事業の受託、補助・助成制度の利活用、企業との連携、あるいは私募債など、多様な方法がある。CFにおいては、申し込みがあった事業を審査するだけでなく、他の資金調達の可能性も含めて、コンサルティングを行い、適正な場合に投融資を行う。
・上記のようなビジネスの内容に踏み込んだ支援 あるいはベースカーゴとなる顧客とのマッチング等、CBがどこまで支援するのか。支援するとして、外部専門家等の活用をどうするのか。そうした方法論の確立が求められる。
●環境面での有益性に関するアドバイスをどうするか
・“環境CB”は、想いが先行し、環境面での有益性が充分に実証されていない場合もある。このため、ライフサイクルアセスメントの視点から、対象とする環境面の有益性を定量的に確認したり、必要に応じて、実証を行うことを、その実施方法も含めてアドバイスすることが望まれる。
・例えば、リユース容器のレンタル事業では、廃棄物の削減と輸送過程での環境負荷の増大の相殺関係をLCCO2等により、明示することで、事業の訴求力を高めることができる。生ごみのメタン発酵施設の残渣を液肥として利用する事業であれば、生ごみのこれまでの処理方法と比較した場合の環境負荷削減効果はもとより、液肥の効果や行政側の廃棄物処理コストの増減等を含めて、総合的に有益性を算定、実証することが望ましい。また、環境面の評価の結果、改善すべき点があれば、そのアドバイスを行うことが望まれる。
・一方、CFが、環境面での有益性の実証や改善に関するアドバイスを行うためには、ノウハウの獲得や人材の育成・斡旋等が必要となる。こうした環境面の専門性の確立が求められる。なお、環境面での有益性の評価方法については、「環境と経済の好循環のまちモデル事業」の評価手法に関する基本的ガイドライン等で整理されている。それらの方法をCFにおいて共有することが望まれる。
●地域づくり・人づくりの観点からの事業内容へのアドバイスをどうするか
・CBは単体で見た場合に多くはスモールビジネスであり、環境面、経済・社会面で大きな成果をあげるものでない。しかし、地域の他の事業と連携したり、より多くの市民参加を得ることにより、その波及効果を高めることができる。こうした地域づくり・人づくりの観点から、個別事業のアドバイスを行うことが望まれる。
・しかし、CFにおいては、投融資の対象となるCBを単体で捉えたり、人づくりの観点を持ち込まない場合が多いと考えられる。CFは、地域において、CBが連鎖し、クラスターを形成し、地域の内発的発展が図られる方向を目標として、CB間の連携を促したり、環境消費者の育成を図る普及啓発やセミナーを開催する等の役割が期待される。CBの事業計画作成、審査、融資後における、地域づくり・人づくりの観点でのアドバイスの手法開発が求められる。
●揺籃期にあるコミュニティ・ファンド
・国内におけるコミュニティ・ファンド(以下、文章中ではCF)は、1980年代後半に設立された「市民バンク」を皮切りに、バブル崩壊後にスタートした「未来バンク事業組合」がノウハウを確立し、その後、NPO支援センター、生活協働組合、民間金融機関等がコミュニティ・ビジネス(以下、文章中ではCB)を対象とした融資事業を展開してきている。
・このように、歴史が浅い事業であり、2006年度には金融貸付法の適用除外、貸金業の付帯決議等を確保したもの、その社会的な位置づけは流動的であり、充分とはいえない。
●揺籃期から確立期に移行するための具体的なコンセプトの共有
・CFに共通する特徴は、CBを投融資により支援することである。CBとは、地域密着、市民参加、公益性などをキーワードとした事業を、ビジネスという手法で実現・継続していくものである。しかし、CBの事業規模、収益性、事業エリア等は幅があり、それゆえCFにおける投融資は、対象CBの公益性と事業性の評価のウエイトづけに幅を持つ。
・CFの多様性・実験性が許容される揺籃期である現在の状況から、社会的位置づけの確立期に移行していくためには、CFの多様性や事業の幅を残しつつ、どのようなCBを、どのような視点から審査し、どのように支援するのか、具体的なコンセプトを共有していく必要がある。
●(ニッチを埋めるのではない)地域づくり・人づくりを支援する役割
・環境省における今回の事業は、第三次環境基本計画における重点分野政策プログラムの1つである「環境保全の人づくり・地域づくりの推進」に基づくアクションとしても、実施される。
・CBにせよ、それを支援するCFにせよ、大規模な営利事業からこぼれるところ、あるいはNPO活動にしては収益性が見込めるところを埋めるというニッチな位置づけに甘んじるものではない。
・環境政策が目指す環境と経済、社会を統合的に発展させる地域経済システムを先取り・具現化するという、より能動的な位置づけを持つべきである。環境関連以外のCB及びその支援においても、サステナブルな未来の地域社会を先取りする視点が必要である。
2.融資対象となる事業の評価等における課題
●公益性と収益性の評価をどのように精査し、どのようにバランスさせるか
・金融機関における融資審査は、事業内容、組織運営力、財務内容、返済原資等を審査する。一方、極端なCFは、ミッションの内容次第、理事会の人員構成や運営状況、代表者個人の信頼性等、特定の視点を重視して審査する。収益性をどこまで厳密に評価するか、ミッションの公益性と収益性どのようにバランスさせるかが、CFの本質的課題である。
・一方、冒頭に示したように、CFといっても、母体となる事業主体、事業形態は多様である。例えば、CFは、市民バンク型、NPO等と行政との提携型、NPO等と民間金融機関との提携型、金融機関の融資商品型、その他生活協同組合型等に分類することができる。市民出資の程度も幅がある。こうしたタイプ毎に、事業評価における項目のウエイトづけや、事業評価の精度が選択される。
・現在、CFにおいて融資が中心であるが、投資の場合では融資以上に対象事業の審査を慎重に行う。また、同じコミュニティ・ファンドであっても、融資商品の品揃えを増やし、商品によって、事業評価の方法を差別化することも考えられる。投資と融資、融資商品のコンセプトによって、審査項目は異なる。審査項目やそのウエイトづけ、事業評価の精度について、最大公約数と選択肢を整理し、コンセプトに応じた審査項目の設定方法を整理することが考えられる。
参考) コミュニティ・ファンドにおける審査項目
生活クラブ運動グループ福祉事業連合
・創造性:新しい試みに挑戦するもの
・参加性:さまざまな立場の人々が参加できる可能性をもつもの
・循環性:たすけあう関係が固定的でなく、替わりあう可能性をもつもの
・地域性:地域の課題、ニーズに即した活動を行っているもの
・運動性:社会的な異議申し立てや課題解決に向けた視点をもつもの
・発展性:人も組織も育ち、波及効果が予想されるもの
・協同性:“施し”ではなく、たすけあい、協同による参加型の福祉を実態化するもの
有限会社中間法人APバンク
・独自性、新規性、市民性、発展性
NPO法人神奈川子ども未来ファンド
・場の必要性
・事業の必要性・先駆性・開拓性
・応募内容の計画性や実現可能性
・他団体、他地域へのモデル性、波及効果
●市民参加性と客観専門性をどのように担保し、どのようにバランスさせるか
・CFは、陪審員制度が裁判への市民参加であることと同様、金融への市民参加の手段としても位置づけられる。CFは、融資対象となるCBへの市民参加を促すとともに、その運営への市民参加も促すことが存在意義として重要な意味を持つ。この市民参加と客観専門性の両立が課題となる。
・融資対象となる事業の評価への市民参加と、事業の客観的な評価とのバランスの取り方についても、CFのタイプや商品に応じた差別化を図ることが考えられる。ただし、市民参加を行わない融資について、金融への市民参加というCFの社会的意義を考慮し、市民参加の手法を示していくことも考えられる。
・なお、審査の煩雑さと遅延化を避けながら、どれだけ丁寧に審査を行うべきか、市民参加型のスローファンドを目指すのか、駆け込み寺的なクイックファンドを目指すのか、多様な方向性がある。CFが目指す目標・コンセプトを定め、それに応じた審査方法を採用することが必要である。
3.インターメディアリーとしての課題
●コミュニティ・ファンドに期待される“投融資プラスα”
・CFは、インターメディアリーとして、CBに対して、投融資プラスαの事業を行うことが期待される。このプラスαの部分の手法の確立・共有が求められる。プラスα部分で期待される事業内とその実施における課題を示す。本業務では、CFがインターメディアリーとして、投融資プラスαをどれだけ、どのように実施するのか、その具現化を図るためにモデル事業を実施し、ノウハウを共有化する。
●コミュニティ・ビジネスの事業計画の作成方法のアドバイスをどこまで行うか
・CBの作成する事業計画は、計画すべき要素や計画の作成方法等がわかっていない場合がある。こうした未熟な計画を、それゆえ融資対象から除外するのではなく、事業計画の作成方法等にアドバイスを行う。事業計画は、次の点を整理、具体化するうえで重要である。
・事業を取り巻く内外要因の分析(SWOT分析)
・事業の付加価値・競合との差別化
・適正な価格戦略販促、広報戦略
・資金調達計画 等
・有機野菜ラーメンのCBへの支援を検討するとしよう。有機が売りであっても、最終的には野菜ラーメンのおいしさが生命線である。では、おいしい有機野菜ラーメンはどうしたら作れるか。CBにおける事業計画は、その事業設計の方法論ではなく、事業内容自体へのアドバイスができなければならない。この場合、やはり必要なことは、ラーメンの達人の指導を得ることであり、CFは、その仲介役を果たせばよい。
・“環境CB”においては、地域内外の環境政策や社会経済動向の事業環境の変動要素が大きく、その影響を受けやすい。このため、環境政策等の動向と影響等の外部要因の経営リスクに踏み込んだ専門的なアドバイスが、事業計画の支援においても必要となる。
・また、CBにおける資金調達の方法は、投融資だけではない。事業収入の拡大、事業の受託、補助・助成制度の利活用、企業との連携、あるいは私募債など、多様な方法がある。CFにおいては、申し込みがあった事業を審査するだけでなく、他の資金調達の可能性も含めて、コンサルティングを行い、適正な場合に投融資を行う。
・上記のようなビジネスの内容に踏み込んだ支援 あるいはベースカーゴとなる顧客とのマッチング等、CBがどこまで支援するのか。支援するとして、外部専門家等の活用をどうするのか。そうした方法論の確立が求められる。
●環境面での有益性に関するアドバイスをどうするか
・“環境CB”は、想いが先行し、環境面での有益性が充分に実証されていない場合もある。このため、ライフサイクルアセスメントの視点から、対象とする環境面の有益性を定量的に確認したり、必要に応じて、実証を行うことを、その実施方法も含めてアドバイスすることが望まれる。
・例えば、リユース容器のレンタル事業では、廃棄物の削減と輸送過程での環境負荷の増大の相殺関係をLCCO2等により、明示することで、事業の訴求力を高めることができる。生ごみのメタン発酵施設の残渣を液肥として利用する事業であれば、生ごみのこれまでの処理方法と比較した場合の環境負荷削減効果はもとより、液肥の効果や行政側の廃棄物処理コストの増減等を含めて、総合的に有益性を算定、実証することが望ましい。また、環境面の評価の結果、改善すべき点があれば、そのアドバイスを行うことが望まれる。
・一方、CFが、環境面での有益性の実証や改善に関するアドバイスを行うためには、ノウハウの獲得や人材の育成・斡旋等が必要となる。こうした環境面の専門性の確立が求められる。なお、環境面での有益性の評価方法については、「環境と経済の好循環のまちモデル事業」の評価手法に関する基本的ガイドライン等で整理されている。それらの方法をCFにおいて共有することが望まれる。
●地域づくり・人づくりの観点からの事業内容へのアドバイスをどうするか
・CBは単体で見た場合に多くはスモールビジネスであり、環境面、経済・社会面で大きな成果をあげるものでない。しかし、地域の他の事業と連携したり、より多くの市民参加を得ることにより、その波及効果を高めることができる。こうした地域づくり・人づくりの観点から、個別事業のアドバイスを行うことが望まれる。
・しかし、CFにおいては、投融資の対象となるCBを単体で捉えたり、人づくりの観点を持ち込まない場合が多いと考えられる。CFは、地域において、CBが連鎖し、クラスターを形成し、地域の内発的発展が図られる方向を目標として、CB間の連携を促したり、環境消費者の育成を図る普及啓発やセミナーを開催する等の役割が期待される。CBの事業計画作成、審査、融資後における、地域づくり・人づくりの観点でのアドバイスの手法開発が求められる。