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東海大学で担当している地域環境経済論の講義で、秦野市のスタディを行った。
秦野市の岩淵さんに、秦野市における環境と経済の統合事業(環境コミュニティ・ビジネス)を考えるにあたり、現状と動向、課題について、情報提供と問題提起をしてもらい、学生とともに環境コミュニティ・ビジネスの方向性を考えるという趣向だ。
岩淵さんの話は刺激的だった。まず、秦野市の農業の就業人口が、すごい勢いで減少している。宅地化や後継者不足であろうが、秦野の地名の由来である“畑”の急激な減少には驚くばかりだ。野生生物による鳥獣被害が農家のやる気を損ねていることもあるらしい。
一方、増えているのが観光客である。自然志向や高齢者の登山ブームで、丹沢山系への登山客が増加しているためである。この観光客をターゲットにして、地元の農産物を食してもらったり、お土産物にしてもらうことで、衰退する農業に刺激を与えることが考えられる。
受講学生の1人は、秦野の鳥獣被害とその駆除に驚いていた。野生生物を殺さずに、共存しながら、地域経済を活性化する方向性を検討したいという。難しい課題だが、駆除以外の解決策をもっと考えなければならない。
折しも、IT関連企業が秦野市をフィールドとして、生物多様性をテーマにしたCSR事業を開始する予定である。IT等の人間の持つ技術を、野生生物との共存にもっと活用したいものだ。そうした新技術と地域住民や地元大学生のマンパワーが融合する方向性を描いていきたい。