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12月17日(金)に、九州環境管理協会で「第1回九州・沖縄地方の地球温暖化影響・適応策検討の情報共有会」が開催された。
九州地方環境事務所が事務局を勤め、内閣府沖縄総合事務局、検疫所、農政局、森林管理局、経済産業局、地方整備局、運輸局、気象台、九州・沖縄の各県・政令市、そして関連委員が集まり、地球温暖化影響・適応に係る情報共有を行うことが、開催趣旨である。
情報提供の中から、私なりに要点をひろっておく。
九州管区気象台の報告
・気象庁では、現在20kmメッシュで気候モデルによる予想を行っている。九州の21世紀末の気候は、平均気温で2~3度上昇、日平均気温30度を超える暑い日の増加、梅雨明けの不明瞭化、無降水日数の増加等が予測されている。また、5kmメッシュでの地球温暖化影響予測を検討中であり、平成24年度に公表の予定である。
九州沖縄農業研究センターの報告
・高温により乳牛の泌乳成績が悪くなっている。これは、高温で酸化ストレスが強くなっているためである。酸化ストレスを弱くするには、人と同様に抗酸化飼料(サプリメント)が有効であるが、コストがあまりかけられない。このため、ミカンジュース搾りかすや焼酎粕など安価な抗酸化飼料の開発、効果的な給与方法の開発、必要な成分を必要なときに給与するノウハウの開発等が研究課題である。
・気温の上昇に伴い水稲の白未熟粒の発生率が高くなっている。この白未熟粒には2つのタイプがある。1つは、背白粒・基白粒といわれ、発生率は気温との関係が示されている。もう1つは、乳白粒・心白粒といわれ、気温だけでなく、登熟期の日射量、籾数との関係があり、登熟期の同化産物供給量が少ないと発生率が高まる。この関係を統計的に分析して、予測モデルをつくることができ、地域にみあった適正籾数の設定、栽培時期の移動等の計画に役立てることができる。
熊本県
・有明海・八代海等の閉鎖的な海域が多いことから、高温化によるノリや魚の養殖への影響が現れている。ノリでは生育期間短縮、魚ではモニタリング、赤潮監視、効果的な赤潮駆除等の手法の開発が必要となている
森林総合研究所九州支所
・平成22年度より農林水産分野における地球温暖化のための緩和及び適応技術の開発という研究を行っている。この中で、九州支所では、林産物への温暖化影響の評価及び適応策として、「シイタケ原木栽培における害菌害虫等の回避技術の開発を行っている。また、全国課題としては、森林における水流出、森林生態系、山地災害、生物害の被害拡大、森林火災等が研究課題となっている。九州では、冬季の越冬頭数の増加によるシカ被害の増加なども検討課題となっている。
以上