サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

低炭素型国土~郷返し・郷がえり

2010年11月21日 | 気候変動緩和・低炭素社会

法政大学地域研究センターの研究プロジェクトの一環として、11月19日に「低炭素都市シンポジウム~低炭素地域社会の形成と国際連携の課題」が開催された。

基調講演では、JST社会技術研究開発センター「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会研究」の領域総括を務められている堀尾正靱先生と、環境モデル都市の構築などに精力的に参加されている藤田壮先生にお話しをいただいた。

続く、北九州市や飯田市の実践報告も、先進地としての自負を持たれた内容で、刺激であった。参加者は130名程度と集客もまずまず、意義深いイベントになった。

私が特に面白かったのは、堀尾先生の「郷返し・郷がえり」の話しだ。

先生の資料によれば、日本の人口は現在、農山村部で1,200万人、都市部で10,800万人、このままでいくと2050年には農山村部900万人、都市部8,100万人になると予測されている。

これに対して、都市部から農山村部への人口移動を促し、2050年に農山村部2,400万人、都市部で8,100万人にする。この人口移動により、現在の二酸化炭素排出量を6割削減できるという。

農山村部には、豊富な環境資源がある。太陽光発電、水力、太陽光、森林バイオマス等の資源容量の見合う分だけ人口を増大させる(都市から受け入れる)。

都市部では、環境効率を徹底的に高めるとともに、廃棄物等の分散型エネルギー源の回収も効率的に進め、できるだけエネルギー自立を進める。それでも足りない分を都市・農山村連携により調達する。

 

堀尾先生の試算の根拠は詳細は不明だが、私もUJIターンによる二酸化炭素排出削減効果を実証的に試算したいと考えている。

都市への集中を前提に、その効率化を図ろうとするだけではいけない。また、合併によって加速している周辺農山村部の放棄を、行財政効率の大義で加速させてはいけない。

都市から農山村部への還流を、低炭素型国土をつくるという観点から検討するため、定量的な議論をさらに進めたいものだ。

 

 

 




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