団塊の世代の世間話

60年を生きてきた思いを綴った「ゼロマイナス1 団塊の世代の世間話」を上梓し、その延長でブログを発信。

『坂の上の雲』一考

2011-12-17 10:09:45 | Weblog
 目下、NHKの『坂の上の雲』 のドラマがクライマックスを迎えている。二〇三高地が終わり、いよいよ日本海海戦、そして奉天大会戦に向かう。
 ドラマはどこまでやるのか知らないが、たぶん日本海海戦で山場としては終わりになるのだろう。
 視聴率は10%ちょっとぐらいとか。これだけ金をかけて上質なドラマに仕上げているのに、観る人は少ない。つまり小説の『坂の上の雲』に耽溺した中高年の男性が多く見ており、カウントから外れているのだろう。
 居酒屋などでは話題になっており、まあ、戦闘シーンなどは女子供は観ていても、あまり面白くないのかもしれない。
 しかし、ああいう戦いを通じて、近代国家の日本ができあがっていったという歴史は知っておかなければならない。
 作家・司馬遼太郎の筆は、明治で終わっている。最後に陸軍の参謀本部を書きたかった、という願いがあった。結局、戦車兵として満州で戦い、ソ連を相手に彼我の差を痛感し、日本という国に思いが行き、回り道をして、ようやく昭和前期という悲劇の時代に向かい合おうとした時に、筆を折った。
 残念だったと思うが、それ以上に、司馬遼太郎がどう昭和前期を描いたのだろうか、と思う時、いち国民としてあまりにもその喪失は大きかった。
 まだ、誰も真の意味で、戦争に至る道を大河小説として書き切った者はいない。日本人で書けるとすれば、塩野七生ぐらいだろうか。
 歴史を振り返り、客観的に俯瞰して描けるようになるには、確かに時間が必要だ。それまでに一定の資料が世に出て、いろいろなドキュメンタリーやエピソードを多く作家が書き、それらが集大成された中から、押し出されるように形になっていくだろう。
 時間がかかるにしても、そろそろという願いがある。いつまでも負の遺産として引きずっているのではなく、イデオロギーに左右されてない正当な歴史としての太平洋戦争を読ませてほしいものだ。

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