宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

サイドウェイ

2005-10-02 18:13:42 | 映画のこと



予備知識は「ワインの映画」ということだった。
だが、それは重要な背景の一つということで、基本はペーソス
溢れる人生の一断面を描いた物語である。

曲がり角を過ぎた中年オヤジコンビの休暇が舞台。

大学時代に寮のルームメイトだったことからつきあいの始まった
親友同士。

片や、落ち目の俳優。
片や、バツイチの国語教師。

俳優が遅い結婚をすることになった。
独身最後に羽を伸ばしたいと、親友である国語教師とワイナリー
巡りの1週間の旅に出る。



この旅が寄り道(サイドウェイ)ということらしい。

風采のあがらない教師の身支度からこの映画は始まる。

彼の歯の磨き方、トイレの仕方(本を読みながら)、
果てはクロスワードをしながらのドライブを見ていると、
とても時間を大切にする性格なのではないかと思う。

自分と少し似たところがあるから(笑)

片や、いい加減で身勝手で、性欲の固まりみたいな俳優。
でも、友人を思ういいところもある。

全く性格の異なる二人だから親友同士でいられるのだろう。

また、こういうことも考えられる。
一個の人間の中には両方の因子が含まれているのかも知れない
ということ、そして、大抵はそのどちらかが顕在化しているだけ
のことなのではないかということである。

元妻が再婚したことを知って落ち込み、酔った挙げ句に別れた
元妻に電話をかけて迷惑がられる教師。

その元妻のお腹に子供がいることを本人から聞かされ、親友の
披露宴をエスケープ。

「大事な日」に開ける筈だった61年物のシュヴァル・ブランを
一人で飲む。
それも、ファーストフード店のイートインコーナーで店員の
目を盗みながら発泡スチロールのコップで。

ヤケになっているのだが、一人では嫌だったということか。

もうひとつの挫折。

小説家志望の国語教師。
最近ようやくその夢が実現寸前のところまできていた。
出版されるかも知れないということである。

ただ、これももう少しというところで届かない。

すると、今度はワイナリーの試飲コーナーで八つ当たり。

救いの神であるレストランのウェイトレスとも俳優のしでかした
チョンボで影がさす。



こういうときもあるさ。
長く生きてりゃ色々ある。

仮にうまくいったとしても、それが未来永劫続くわけではない。
だから、感情の氷解を示す彼女の留守電をバネに彼女の部屋を
訪ねる寸前、ドアノブに手がかかるところのラストシーンは
正解だと思う。

今度、ピクニックをしよう。
道具はいらない。



必要なのは
パンとワインと敷物と、気のおけない友達・・・


サイドウェイ 特別編

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