「この食事は己の仲間のビルのかい?」と彼はちょっと横目をして尋ねた。
私は、あんたの仲間のビルという人は知らない、これは家に泊っている、私たちが船長と言っている人のだ、と言ってやった。
「なるほど、」と彼は言った。「己の仲間のビルのことなら船長と言われもするだろうな。あいつは片頬に切傷がある。そしてなかなか面白えとこがあるよ、ことに酔っ払うとだ、ビルの奴はね。まあ証拠として申し上げようかな。その船長という男にゃ片頬に切傷がある、――そしてお望みとあれば言うが、それぁ右の頬だ。ああ、それ御覧、言いあてたろう。ところで、己の仲間のビルはこの家にいるかね?」
――スティブンソン「宝島」