確か『野球狂の詩』の「なんとか18番」というエピソードで、岩田鉄五郎が五十三歳ぐらいで「今日が最後の試合や」「今シーズンは」というオチをかましており、試しにウィキペディアをみてみたら、現在九十二歳らしい。ここまでくると果たして引退しているか怪しい。というかどうでもいい。
水島新司のマンガは、リアルな野球漫画という路線(今から考えてみると、「アストロ球団」とか「巨人の星」とかとの相対的な問題であった)だったくせに、作品が長引くにつれて、ほとんどの設定が絵空事になっていく――選手の能力のインフレである――と思いきや、そうでもないのである。主人公たちの体は、普通のサイズになってゆくし、音速を超えてそうな速球が、案外135キロぐらい。ドカベン山田太郎なんて、最近は案外普通の成績だ。彼の高校時代の調子で行けば、ホームラン1000本、三冠王五回、彼のいるチームは、毎年139勝1敗。ぐらいのはずだ。中西球道は高校時代160キロを超えていたから、いまはだいたい200キロぐらいを投げているはずである。
で、中日の山本昌投手が五十歳で引退するそうなのである。若い頃からほとんど球速が変わらなかったらしい。
現実的には、こちらの方がよほど夢のような話である。フィクションが夢を与えるとは限らないということがよくわかる。
山本投手は、ラジコンでも日本有数の人らしいのであるが、投球フォームとほとんど変わらない構えでレジコンをやっていることでも伝説であった。
今年は、小笠原、和田、谷繁という伝説の人物たちも引退するそうだ。川上投手も引退かとか噂されている。今年は中日ドラゴンズは久しぶりに最下位っぽいのであるが、たぶん夢だろう。
今中投手の復帰はまだであろうか?